第204話 君と目が合うことに照れてます!

 プロポーズ⁈


「毎年、何人かはそれがきっかけで結婚したりするんだ。でも、今年はいないかもなぁ」


 村の人口が減っているからだ。もしも機会チャンスがあるなら女子達とユリウスあたりか?


「なかなかロマンチックなイベントだな」


「ヒロキも参加してよ」


 カールがニヤニヤして俺を誘う。


「だからダンスは下手なんだって」


「そうじゃなくて、プロポーズの方」




 …………へ?





 反射的にカリンを見てしまう。


 カリンは一瞬合った視線を、またらす。


 やば……。

 俺は手でにやけそうになる口元を押さえる。


 いやいや、ダメだって。

 そういうんじゃ無い。

 違うんだ。

 違って無いけど、違うんだ。


 顔が熱くなる。

 やめろって!

 考えちゃダメだ、落ち着け。


 やり場の無い目線をカールに向けると、ヤツは必死で爆笑をこらえる顔をしている。


「カール!からかったな!」


「あっはははは!いいじゃーん」


 俺が怒ると、金髪の少年は笑いながらさっさと逃げて行く。その姿はどこまでも明るい。軽やかであっという間に村に入って見えなくなった。


 もしもカールとエレミアが想いあっているのなら、過越の祭りだって別の意味を持ってくるだろう。それでもカールは明るいのだ。俺にはまぶしい明るさだった。



「そ、それにしてもオットーさんはいろんなところに行くんだな」


 カリンと2人きりなので話題を変える。


「そ、そうですよね!南の方ってどんなところなんでしょうね?」


「あったかいだろうなぁ。こっちはこれから寒さが厳しくなるのに」


「……だから南に行くんでしょうか?」


「!!」


 そういう事なのか⁈




 つづく

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