第157話 昔語りをしましょう!

ユリウスの2度目の言動にブチ切れた女神様を取り押さえるのには苦労した。(カリンに宿っているフォリアなら俺でも抑える事は出来る)


ユリウスの方はペットボトル500mlを投げ付けられて半泣きだ。


ユリウスにしたら自然に出てくる言葉なんだろうけど…そう思うとちょっとかわいそうになる。


「まあまあ、フォリアも落ち着いて」


『落ち着いておる!戦人いくさびとを捕まえてうわついたことを言う奴がおるか!』


「わかったから」


そのエネルギーを銀聖水に変えて欲しいものだ。なのでペットボトルをフォリアに渡す。


彼女はぷりぷりしながらも、手をかざして水を銀聖水に変える。


「…!」


奇蹟を目の当たりにしたユリウスが声を上げそうになる。それを自分で口を押さえてこらえる。そこまでしなくても…。


銀聖水を作りながら、フォリアに戦い方のヒントはないか話してみる。


例えば昔はどう戦ったのか、とか。


『昔の戦い方…?それは今も変わらんぞ。銀製の武器と清められた水と炎。それがあればあの霧は散ってゆくだろう』


「その戦い方は霧の中で銀の武器を振り回せばいいのか?」


『うむ。だからとり逃すことが多いのだ。その頃は私に力があってな…』




フォリアによると、人間だった時の彼女は不思議な力があった為、巫女みこ兼戦士として戦うことになったそうだ。


フォリア自身が場を清める力を持ち、弓を放って「場」を清浄化して行く。


そうやって彼女は200年前に騎士団をひきいて、黒い霧を祓い丑寅うしとらの方角に追い詰めていく。


人のいない方へ、いない方へ——。


人がいなければ黒い霧の力も弱まるはずだと、フォリアは進軍する。


幾人かの仲間を失いながらも、フォリア達は今のリール村のあたりに拠点を築き上げた。


この辺りは人々の多い都市(後のフォルトナベルグ)からかなり離れ、集落すらもない辺境の地であったという。




「じゃあ、リール村の外壁にフォリアの意匠いしょうがあったのはそのせいか!」


『うむ。この前話すかどうか迷ったのだが、ここは北の果ての砦跡が元になった村なのだ』


「それからどうなった?」


『それから……』




つづく

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