第139話 俺の決心!


「人がいなければ消えるのに?」


信じる者、恐怖する者、それらが居なくなれば存在しなくなるのに、居なくても良いって?


『おそらくヤツらは全てを無に帰すのが狙いじゃ。そして最後には自らも無に帰す事を望んでおる』


そんな馬鹿な。


俺はこの世界が真っ黒な何かに呑み込まれる様を脳裏に描いた。


日が陰る様にあたりが暗くなっていく。光も何もかも影に覆われて、人々の声さえも消えてゆく。そして最期に黒い霧自身さえも真っ暗な影と同化して。


とぷん、と世界が闇に沈んで終わる——。


それは真に迫っていて本当に実現しそうで怖くなる。


この光に満ちた世界を。

苦しくとも支え合って生きていく人々がいるこの世界を。


真っ黒な闇に覆われてしまうのか?


そんなことはさせたくない。


…そんなことはさせない。





『ヒロキ』


「なんだ、フォリア?なんでも言ってくれ」


俺は心に決めた。

ちゃんとこの村を救うのだ。

カリン達の明日を護るのだ。


やり方はつたなくても、そう決めた。




『ヒロキ、お前はこの者の服を寝巻きと思っているようだが…』


ん?


『これはこちらの世界では下着だぞ』


へ?


『じゃあな』


「ちょっ、待って…」


なんで?

なんでいつもこんなタイミングで帰るんだよ⁈


そして聖なる丘にカリンの澄んだ怒声が響き渡った——。




つづく

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