第110話 騎士の帰還!

 薪の確保に向けて、協力者が出来たので少し安心した。カリンの父さん達も忙しいだろうに…。


「これくらいの事はおっしゃって頂ければ、用意しますよ」


 そう言ってむしろ俺を気遣きづかってくれる。


「ヒロキ様こそお忙しいでしょう。なんでも大商人とやらと取引をなさるとか?」


 いや、あの部屋のおかげで元手なしでの商売だから…褒められると困ってしまう。あ、そうなるとフォリアの恩恵か?


 これもついでだ。

 フォリアをよいしょしとこう。


 俺は女神・フォリアのおかげだと大いに語った。




 夕刻——。


 騎士ユリウスが「無事」戻ってきてしまった。しかもなんか騎馬に荷物乗せてやってきた。がっつり長居する気だな。


 丘の下を通る時、カリンにだけ手を振っていく。カリンは彼が俺達に手を振ったと思ったらしく、律儀にふり返していた。


 村では再びの盛り上がり。

 でもほぼ女性陣の。

 男どもの怨念のこもった歯ぎしりがギリギリと聞こえてきそうだ。


 後で聞いたところによると、村長と「レディ」達にささやかながらお土産があったらしい。


 そしてもちろんお土産はカリンの分もあった。


 村での歓迎の食事会の後にわざわざ丘までユリウスはやって来たのだ。


「カリン殿、お待たせしました。無事に隊長から許可を得て、調査の為に村に駐屯できます」


 そう報告しながら、小さな可愛らしい包みを彼女に差し出した。




 つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る