第96話 ヒロキの失態!

 簡単に腹ごしらえすると、俺達はめいめい買い物に行くことにした。


「私達欲しいものがあるからお金ちょうだい!」


「無駄遣いすんなよ」


「わかってるって!」


 エレミアは調子よく返事すると、カリンの手を引いて行ってしまった。


 今日は主に前回買い逃した小麦を購入するのだ。あと調味料とか。


「じゃあ、行くか」


 俺が皆に声をかけると、コリンがつぶやく。


「騎士様…いない」


 何ィ?


「姉ちゃん達について行ったかな」


「…お前、怒らないのか?」


「なんで?」


「いや、別に」


 エレミアがユリウスに会って浮かれてるけど、カールは気にならないのか?


 例えば、あくまでも例えばだが、カリンがユリウスに対して浮かれてたら俺はショックだなぁ。たぶん。


 てか、カールとエレミアは幼馴染なだけなのか?何にもないのか。


 俺にそういう存在が居ないからわかんないな〜。



 さて、俺達3人はお目当ての塩とハーブ、少しの砂糖を購入する。


 その次に小麦を袋で購入。コリンは持てそうになかったので、お店の人に町の外で待っている荷馬車のとこまで運んでもらって、3袋購入した。


「後はベーコンとソーセージでも買うか?」


「いいね!けど、ほんとはブタが買えれば良いんだよな…」


 カールが言うのも最もだ。ブタは増やしやすいらしい。自分達で増やせればベーコンもソーセージもハムも作れるそうだ。


 …そんなゲームがあった事を思い出したりする。


「ああっ!」


「何?ヒロキ⁈」


「…菓子パン100個の代金、豚にしてもらえばよかったんじゃ…?」


「ああッ!ヒロキのバカ!」


「バ、バカってこたないだろ!」



「…何を騒いでいる?」


 このイヤミな声は。


「別に」


 俺はユリウスに何でもないというように返した。


 彼の後ろにはカリンとエレミアがにこにこしながら歩いてくる。


 エレミアが手にしているものは…。



 つづく

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