生贄の少女と異世界ぐらしwith 持ち物一つ

第81話 さすがに怒られました！

　なんとも謝るしかない状況を俺は再び土下座で切り抜けた。（よく考えたらこれが謝罪の表現だと伝わってるのがすごいのでは…）

　顔を真っ赤にして怒っていた（というか驚いていた？）カリンも、小屋の中に所狭しと並べられた光るペットボトルを見て女神・フォリアが来た事は納得してくれた。

　しかし、あの状況はどう考えても…。

「フォリアがふざけたからちょっとカッとなって…」

「女神様がふざけるわけないでしょう？それとフォリア様を呼び捨てにしないでください！」

　くっそー！

　あのゴキゲン女神め！

　カリンに怒られたではないか。

「…けど、また聞き逃したな」

「？」

　俺がこの世界に呼ばれた理由だ。

　今度フォリアに会ったら聞こうと思っていたが、別の話に気を取られて聞けなかった。（今度会ったら『新品』の件も聞かなくては）

「とにかく、着替えますから出て行って下さい」

「ん、ああごめん…って、その服着るのか？」

　俺はカリンの青い一張羅（ワンピース）を指した。それはまだ昨日の戦いの名残をとどめていた。

　どす黒く色が変わっていたがそれは黒狼の血だ。

「…これしか持っておりませんので」

　毛布を胸元に引き寄せながら、カリンは恥ずかしそうにつぶやく。

　街ではどうか知らないが、この辺りの貧しい村では服は少なく、主に下着や襟（カラー）、袖口を外して交換して着替えた事にしている。

　それでも外套とかを着て、たまにメインの服を洗うのだが、カリンは他のものを持っていない。

「ごめん、ちょっと待ってて！」

　ホントに俺は気が利かない。

　女子ならお洒落したいだろうに。

　俺は部屋に入ると私服の中から、あまり傷んでない青系の服を探した。（カリンには青が似合う。白も合うかなぁ）

　結局白のロンT、と白と紺のストライプ柄の長袖シャツを選んだ。男物の服だからカリンが着ればスカートっぽくなるかな。

　それでも今の服よりは丈が短いから下に着る物として学校の体操着の短パンを持って行く。

「これを着るのですか？」

　カリンは上はともかく、足を出すのが恥ずかしいらしい。

「いや、洗濯する間だけでも使ってくれればいいんだ。新しい服を作る布は今度買いに行こう」

　そう言うとカリンの瞳がきらめいた。

「あ、ありがとうございます、ヒロキ！」

　良かった。

　やっぱ服は欲しいよな。

　俺の服を着たカリンを目にすると、なんとも言えないくすぐったい気持ちになる。俺の布団を増やしてカリンを休ませた時以来の感覚だ。

　いやいやいや。

　真面目に行こう。

　袖はまくるとしても、ウエストのあたりがさまにならない。

　そう思っていると、カリンはカフスなどを作ったあまり布の中から、長いハギレを出して、それでウエストを縛った。帯から下が少し膨らんでスカートっぽくなる。

　良い…。

　つづく