第8話 神殿は遠いんです!

 俺はカリンに銀の御守りを借りる。

 それを持って部屋に入る。


 が、俺は例の見えない壁を通り抜けたが、御守りはそうではなかった。


 見えない壁は小さな御守りは頑として通さない。


 という事はこの世界の物質はこの部屋に入らないという事か?


 そうであればこの世界の人々も入れないのか?


 俺はカリンを呼ぶ。

 この部屋に入ってくれと言うと、カリンは恐る恐る進んでくれる。


 が、彼女は見えない壁にはばまれて俺の部屋には入れなかった。

(やや、残念な気もする…)


 とりあえず泥棒の心配はない事がわかった。

 しかしコレでは銀を増やす事は出来ないと言う事だ。


 残念なことに俺はシルバーアクセサリーの類を持っているタイプの人間じゃない。銀製品ってどこに使われているだろう?


 1番使われていそうなのは機械類だよな。俺の部屋に有る機械…スマホ、時計、ゲーム機?

 だがこれらを分解したとしても、どの部品が銀製かは俺には判別できない。


 ああ、検索したい!いつもすぐスマホで調べていたのに!


「カリン、他に魔物を倒す方法はある?」


「そうですね、神殿で神に清められたものはたいてい有効です。火でも水でも…神殿の周りは魔物がほぼ出ないと聞きますので風なども効くのかも…」


「神殿は遠い?」


「はい。人の足では半月。馬ならもっと早いのでしょうが、村にはすでに馬はおりません」


 彼女が言うにはだいぶ前に村の外に出たおりに狼に襲われたとの事だ。


 ペットボトルを大量に持って神殿に行くのも無理そうだ。


「あの、ヒロキ」


「何?」


 カリンは遠慮がちに切り出した。


「よろしければ村の者にも先ほどのパンを食べさせてやりたいのですが…」


 そうだった!

 飢饉だと言っていたのに悪いことをした。


 俺は急いで部屋に戻ると、パンを持って出た。


 あれ?

 これって1つ増やすのに一往復かかるって事?


 くそう、やるよ!

 せっかくの異世界だ。

 これくらいやるよ!


 その後、俺は菓子パンを100個まで増やした。


 つづく

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