第155話 いいんだ…

『桜雪ーーー‼』

 帰るなり走って来るチョビさん。

 足元をウロウロ歩き回る。

「チョビさん…歩きにくい」


 ソファに腰を下ろすと、

『桜雪』

 僕の顔に頭を擦りつける。

「ん?」

 なんだか香水のような香りが?

 今日は香水なんて付けてないし…

『桜雪ー‼」

「ん? チョビさん」


 チョビさんの身体から香水の香りが…

「まさか?」

 寝室へ向かうと隣の部屋まで香る香水の香り…

「チョビさん…」


 部屋のフレグランスをひっくり返したようだ。


「チョビさん」

『桜雪ーーー‼』


 リビングで僕を呼ぶチョビさん。

「しばらく、寝室にはチョビさんは来ないな…たぶん」

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