第127話 鯖は、いまひとつ

 クロさん、焼き魚の匂いにつられてやってきた。

『桜雪、魚食べてる?』

 僕の横にドスンッと座る。

 鯖をほぐして、手に乗せてクロさんに差し出す。

 フンフン…と鼻を鳴らしてハグハグと食べる。

『桜雪…鮭じゃないね』

「クロさん、鯖しかありません」

 皿を覗き込んで、匂いを嗅いで、少し食べて出ていった。

「クロさん…鮭以外は、好まないようですね」


 鮭なら切り身、全部食べるのに。

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