第120話 桜の木

 暖かい日、桜の木の下でクロさんが爪を研ぐ。

 クロさんは遠出しないので、安心なのだ。

 ポカーッと日差しが差す日、木の根元でクロさんが爪を研ぐ。

 チョビさんが脱走するので窓を閉めたのだが…

 その午後…まさかの大荒れ…

 窓を引っ掻くクロさん。

『桜雪‼ おい、雨降ってるって‼』

 ちょっと、忘れてた…。

 窓を開けるとモソモソっと中へ入って来るクロさん。

『桜雪…どういうことなのか?』

 濡れて怒るクロさん。

「申し訳ないクロさん」

 とりあえずタオルで体を包んでワシャワシャと拭く。

 よほど気に入らないのか、僕の手に噛みつく。

 身体を自分で舐めて怒りを鎮めているクロさんに、チョビさんがちょっかいを出して叩かれる。


「いや…ホント、すまないことですクロさん」


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