第108話 クロさん納豆を踏む

『桜雪…コレ…嫌いなんだけど』

 クロさんは納豆が嫌いなようだ。

 嗅がなければよかろうに…

「あっ…」

 納豆の蓋を退かそうとしたクロさんの足にビニールがくっつく。

 ピタッと動きが止まるクロさん。

 そして

「にゃーーーーー‼」

 大きく鳴いて走り回る。

 納豆のビニールは取れないまま、リビングで転げまわるクロさん。

 被害は拡大していく…

 足から尻尾へ移動した納豆のビニール。

「クロさん…」

『桜雪‼ 取って‼ 早く取って‼ 』


 もはやパニックである。

 抱っこしてビニールを尻尾から剥がす。

『桜雪‼ なんか臭いーーー‼』


 風呂場で足と尻尾を強制的にシャワー。

『桜雪、シャワー嫌い‼』


 もう…僕の手足、傷だらけ…

『冗談じゃないぞ‼』


 不機嫌なまま風呂場から出ていくクロさん…

 しばらくは部屋に入らないだろう。

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