第107話 怒る先が違う

 チョビさん、フラフラ~と部屋に入ってくる。

 しっぽが左右に振れている…

(くつろいでおられる)

『桜雪、今日は何食べてる?』

 チョビさんは、とりあえず僕の夕食を確認するように嗅ぐ。

 嗅ぐだけで食べはしないのだ。

 しっぽが卓上の鏡にペシッペシッと当たっている。

 ガシャーン‼


 机から鏡が落ちて、チョビさんビクッと部屋から走り去る。

 ドアの隅からソーッと顔を出して様子を伺っている。

『桜雪‼ ガシャーンッとなったよ‼』

 ドアの向こうから鳴きまくる。


『大丈夫? もうガシャーンッてならない?』

 ソロリソロリと入ってきて、僕の膝の上で怒り出す。

『なんなんだよ‼』


 猫は面倒くさい性格をしている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る