第96話 顔認証

『桜雪…』

 チョビさんは、僕の上に乗る。

 乗って凛々しく遠くを見る。

『桜雪…喉撫でていいよ』

 アゴをクイッと上に向け、撫でろと催促する。

 撫でると僕の顔にスリスリしてくる。


 どこにでも乗るチョビさん。

 足でも胸でも、飛び乗るチョビさん。


 しかし…顔にだけは乗らない。

 顔は認識しているらしい。


 僕の顔を踏むのはクロさんだ。

 特に気にはしないらしい。

『ちょっと起きろ、桜雪』


 だが…とりあえず、どちらも僕の顔は叩く…。

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