第83話 忘れてた?

 雪が積もった。

 とはいえ水っぽい一日もたないような雪。

「タイヤ交換してねぇよ…」

 毎年、信じている。

『今年は暖冬』

 全然、クソ寒い。

 でも信じてるから、ギリギリまでタイヤ交換はしない。

 それが僕の抵抗(何の?誰に?)


 チョビさん、とりあえず窓から屋根に積もった雪をチョンッと触る。

 そしてヒョイッと屋根に飛び乗る。

 そのままジッと僕を見て鳴く。

『桜雪…冷たい…』

「チョビさん…毎年、やってないか?」


 手を伸ばしてチョビさんを抱っこして部屋に入れる。

 毛布の上にポンッと置くと。

 モソモソっと毛布に潜り込む。

「出なければいいのに…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る