雨の精

第1話 引きこもり

「今日も雨か・・・」

部屋の窓から、外をみる。

もう、何日も降り続いている。

ぶらさげてある、テルテル坊主も役に立たない。

いかに梅雨とはいえ、うんざりする。

「いつ、止むのか・・・」

「別にいいじゃない」

「えっ」

どこだ？どこかから声がする？

「ここよ。窓の外」

見ると、女の子が逆さにぶらさがっていた。

長い髪が、下にたれている。

「君はだれだ？」

「先に自分の名前を名乗りなさい」

たく・・・

「僕は、雨宮涼(あめみや　りょう)。これでいい？」

「合格。私は雨の精」

「ウソ」

「本当よ。学生証見る？」

「いい」

面倒くさいから、やめておいた。

「フランクに、レインと呼んでね、涼」

「まんまだね」

「わるかったわね」

レインはぶら下がったままだ。

「このままで、ごめんね。私は雨の中でないと生きられないから」

「それはいいが、さっきの事はどういう意味？」

「さっきの事って？」

「『別に雨でもいい』そういったよね？」

「ああ、その事ね」

レインは窓のへいに、腰を下ろした。

「だって、君はひきこもりでしょ？」

「えっ」

「ずっと、部屋に閉じこもっている。天気なんて、関係ないじゃない」

そこまでいうか？

「いいわ。私が外の素晴らしさを教えてあげる」

「晴れたらね」

「言ったでしょ！私は雨の中でないと、生きられないの」

「で、どうするの？」

「こうするの」

レインは、僕の手を握って、そのまま外へと連れ出した。

「レインは、飛べるの？」

「まあね、これで信じた？私が精霊であること」