番外編 セリーヌ視点

 わたくしの主はとても美しく可愛いらしいです。アッシュブロンドの髪の毛にアメジスト色の瞳。アッシュブロンドの髪はまるで絹のようにさらさらで、アメジスト色の瞳はまるで宝石のように輝いています。わたくしはそんなアリーヤ様が昔から好きでした。今のアリーヤ様は兎も角、昔のアリーヤ様はお世話にも性格は可愛いとは言えませんでした。でもそんなアリーヤ様も好きでしたけど。


 わたくしが今回お話するのは最近のアリーヤ様の事です。それでは、聞いて下さいませ。




 最近のアリーヤ様は博識で仕草が洗礼されています。例えば朝、わたくしがアリーヤ様を起こしに行った時の事です。




「アリーヤ様、おはようございます。朝ですよ。起きて下さいませ」




「……ん……セ、リーヌ? おはよう」




 わたくしがアリーヤ様に声を掛けると、アリーヤ様は寝ぼけた目を擦り、横髪を無造作に耳に掛けました。……あぁ、尊い。本当に可愛いらしい。……と、失礼しました。




 わたくし、以前のアリーヤ様も好きでしたけど、今のアリーヤ様はもっと好きです。だからわたくしは決意しました。一生アリーヤ様に仕えよう、と。あっ因みにですがわたくし、女性が好きと言うわけでは無いですよ? わたくしの恋愛対象は男性です。……ええと、ごほん。話を戻しますと。




 わたくしはアリーヤ様の着替えを手伝いました。今日は学園があるので黒を基調とした制服です。制服に着替え終わったアリーヤ様はドレッサーの前へ移動しました。へアセットとメイクをするためです。


 まずわたくしはアリーヤ様の綺麗なお顔に化粧を施します。桜色の唇には少し赤みがかったリップを、バラ色の頬には少し薄めのピンク色のチークをしました。


 そして次は髪の毛です。わたくしはアリーヤ様のアッシュブロンドの髪の毛を梳かします。少し乱れていた髪の毛が綺麗に真っ直ぐになりました。そして、わたくしはアリーヤ様の両サイドの髪の毛を編み込みします。編み込みが出来上がるとわたくしはそれを纏めてハーフアップにしました。我ながら上出来ですわ。




 その時、エドマンド様が迎えに来て下さったと言うベルの知らせが来ました。わたくしはその音を聞いてアリーヤ様に声を掛けます。




「アリーヤ様、エドマンド様が迎えに来て下さったみたいですわ。さぁ、行きましょう」




「えぇ……」




 えぇ、と言って頷いたアリーヤ様の表情はとても暗いです。あまり乗り気では無いみたいですわ。わたくしの予想ですけれど、アリーヤ様はエドマンド様を好きだと思った矢先、誰かの事を意識し始めたのだと思います。そしてエドマンド様の事をハッキリと好きでは無いと自覚した模様ですわね。まぁ、それはどうでも良いです。わたくしにとって重要なのはアリーヤ様が幸せになることですから。




 わたくしの主が今日も幸せになりますように。そう思いながらわたくしは今日も働きます。

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