第十五話

 ねぇ、私はどうすれば良いの?何を選択すれば間違いにはならないの? 誰か教えて。








 ◇◇◇◇◇








「最近、アリーヤ様倒れてばかっかりだよね。疲れているのかな……」




「……いや、いくら何でも倒れすぎじゃないか?」




 微睡みの中でうっすらとハルの声が聞こえたかと思うと耳のすぐ側でエドマンド様の声が聞こえた。重たい瞼を無理矢理抉こじ開ける。




「まぁ、アリーヤ様っ! 大丈夫ですかっ!?」




 いつの間にか口調が元に戻っているヴィクトリア様が心配そうに声を掛けてくれた。


 ……あぁ、そっか。私、また意識を失ったんだ。




「ご心配掛けて申し訳ありません。私は大丈夫です。」




 私はにこりと微笑んで言うが、皆は押し黙ったままでいる。思わず首を傾げてしまう。私が眠っている間に、何があったのだろうか。




「……ねぇ、アリーヤ様。僕思ったんだ。アリーヤ様は最近意識を失ない過ぎじゃないかって。」




 ……それがどうかしたのかしら。確かにそうだけど、何も変なところはないよね。




「それでね、アリーヤ様の体を勝手に調べさせて貰った。ごめんなさいっ!」




「調べたって……一体何をしたの?」




 凄い剣幕で謝るハルにも驚いたが、体を調べたって一体何をしたのだろうか。




「実は、アリーヤ様の莫大な魔力がある場所で固まっていたんだ。」




「ある場所?」




 私は頭の上にハテナを浮かべる。すると、ハルは私の方に近づいてきた。一体何をするのだろうか。




「ここ」




 そう言ってちょうど心臓の辺りをトンっと突つついた。思わず身震いをしてしまう。




「ここに、魔力が固まっているんだ。」




「えっ……ハル様、待って下さいませ。それってどういうことですか!?」




 ヴィクトリア様がハルに突っ掛かる。とても怖い顔で。




「アリーヤ様が頻繁に意識を失うのは心臓の辺りにある魔力のせいだ。このままだとアリーヤ様は魔力に喰われる。」




「ハル、そなた本当にそう思っているのか?」




 エドマンド様がハルをギロリと睨み付けながら言う。だがハルはエドマンド様の睨みにも動じず、コクリと頷いた。




「僕、この前読んだんだ。それは古い書物で、アリーヤ様と酷似した症状の例を見たんだ。」




 一同押し黙る。エドマンド様に至っては物凄く怖い顔をしている。少し声が掛けづらい。




「もし、このまま放って置いたらどうなるんだ?」




 エドマンド様が先程の怖い顔のままで問い掛ける。ハルはエドマンド様を一瞥いちべつして少し考え込む素振りをした。




「……確か、最悪死ぬ可能性をある、と書かれていたはず。」




「ハル、それ本当かっ!? 助かる方法はあるのか!?」




「助かる方法は………」




 ハルはそこまで言って目を反らす。何か言えないことなのか。




「実は隣国に行かなければならないんだ。そこにある『ケフェティの実』というものを取りに行けば、アリーヤ様は助かるかもしれない。」




「り、ん……ご、く? ……っ嫌だ! 私行きたくない!!」




 私は隣国と聞いて咄嗟に断る。心臓がバクバクいっているのが自分でも分かる。




「アリーヤ様……? 分かりました。僕とエドマンド様で行きます。ヴィクトリア様と留守番してて下さい。」








 ◇◇◇◇◇








 ハァー、アリーヤ様は何でエドマンド様と婚約したのだろう。……エドマンド様、ずるいなぁ……。僕だってアリーヤ様のことが好きなのに。二人とも婚約解消してくれないかなぁ。

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