Fragment-memory of future-Ⅱ

黒乃

プロローグ

拝啓 俺の大事な仲間たちへ

 俺たちが出会ってから、もう一年が経つな。元気にしているか?といっても、この間手紙出したばかりだけどな。こっちは師匠もスグリも変わらずに元気だよ。それでな、ソワンは世界巡礼のあとから少しだけ昇進したんだぜ!努力の賜物って凄いな。ちょくちょく大きい仕事を任されてるみたいなんだ。


 ちなみに俺は無事に学園を卒業して、今年から正式にユグドラシル教団の教団騎士に所属することになったよ。まぁ所属したって言っても、まだまだ下っ端の下っ端だけどね。ちなみに、教団騎士にもミズガルーズ国家防衛軍みたいにそれぞれ部隊があるんだってさ。俺はそこの、魔法騎士団に入ることになるんだ。なんかこう、役職って訳じゃないけど肩書きが付くって新鮮な気がする。

 一年前、ミズガルーズの街でお前たちに語った俺の夢のこと、覚えてるか?教団に入って、女神の巫女ヴォルヴァの力で世界の平和を築く、手伝いをしたいって夢。

 ……今も、自分の両手で救える人たちを助けていきたいって気持ちは変わらない。目の前で泣いてるヒトを救いたい、そんな人間になりたい。あの祭りの夜のことは、今でも覚えてる。俺は夢に向かって一歩、踏み出し始めた。……なんだろう、面と向かって言うと恥ずかしいけど、手紙だと色々書けるな。


 そっちは今、大陸のどこら辺にいるんだろうな?俺が行くユグドラシル教団と教団騎士本部は、アウスガールズから少し離れた場所にある海を埋め立てて作られた、ヒミンって名前の島にあるよ。島って言っても結構大きいし住宅街とかもあるんだ。

 イメージ的にはそうだな、ミズガルーズを一回り大きくした街が海に浮かんでいるって言えば、わかりやすいかな?しかもユグドラシル教団本部って言うだけあって、世界中から信者の人たちが集まったりするんだってさ。一種の観光地にもなってるらしくて、驚いた。

 新しくなる環境に、ちょっと怖いけど俺頑張るから。たまには、遊びに来てくれたっていいんだぞ?


 あんまり長すぎても迷惑だろうしこの辺りで。これからは俺も訓練とかがあるから、そうそう返事は書けないかもしれないけど、また必ず手紙を書くからな。それじゃあ、お前たちの旅路に幸多からんことを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る