魔法少女やらされてます。

沼米 さくら

第1話 狂気との遭遇


 ふぁ~。おはよう。

 ……朝になっても暗いアパートの部屋の中、虚空に声を出さずに挨拶。答える者はいな――

「あ、おはよう。キミは、にしだとしゆき君でいいんだっけ?」

「おはようございます。でも西田 敏行じゃありません。それは俳優ですよ」

「ああ、そうだったね。What your name?」

「僕は、北原きたはら 優樹ゆうき。間違えないでくださいよ。後なんで英語で……え、そもそも何故声がするんだ?」

「ボクはここだよ」

 母は寝ている。父はいない。母子家庭だから。弟や妹はいるが、やつらはこんな声じゃない。幼い少年のような声の人物はこの家にいない。

 だから、ここで知らない声がするということは――

「不審者!」

「違うよ。そもそも人間じゃないし」

 人間じゃない? どういうことだろう。

「ここだよここ。ああ、もう。今出てくるから」

 そう聞こえた。布団からごそごそ聞こえる。

 出てきたものは、いたちのような、フェレットのような、謎の生き物だった。その謎の生き物が口をパクパクさせて、「ここだよここ」と話している。

 なんだろう。というか、いろいろと突っ込みたいんだけど。

 何で僕のことを知っている風にしゃべった?

 何でここにいる?

 何で人間じゃないのにしゃべってる?


 そして、何故ボクの下半身はこんなにもスースーするんだ?


 うん。気にしたら負けかも知れん。何か、よくわからない。

 早速だけど、ボクと契約して、魔法少女に」

「うん、ちょっと黙ろうか。今からいろいろやる事があるんだ、そう、学校に行かなくては」

「大丈夫すぐ終わるから」

「まずは落ち着きたい」

「さあ、夜の運動(意味深)を」

「落ち着こうまずは落ち着こう」

 というか、今いろいろとカオスなフレーズがいっぱい出てきていたような。

 魔法少女? 夜の運動? 君は何を言っているんだ?

 すー、はー。もう何も考えずに布団から出よう。制服着て準備しよう。そして、家から出よう。いつもの日常に戻るんだ。今からでも遅くない。魔法少女なんて創作物の中のものでしかない。というか、これは夢だ。そう、夢……。現実逃避完了。とりあえず、布団から出よう。

 布団から出ると、下半身は丸出しだった。アソコが丸出しで、ズボンやパンツの感触などない。

 はい? これはどういうことですかねえ。ボクはいつ露出に目覚めたのでしょうか――いやこれすごく恥ずかしいから! 気持ち悪いから! そういう方向には目覚めてないから!

 では何故脱げた――? 何か忘れかけたような。

 ……あ、このフェレットっぽい何か。――が、僕のアレを見て、はぁはぁしている!?

 いや、どういう状況だよこれ! まさか……

「君がやったのか……?」

「はい、ボクがやりました。ついでに、契約(セッ○ス)でも……」

「……君の性別は?」

「オスですが、何か?」

「……ファッ!?」

「うへへへへ、君の包○ち○こ堪らない……そのつるつるア○ルに僕の肉○を○してもいいかい?……あっ」

 やばやばやばやば、こいつ、ガチホモじゃん! しかも、僕にぞっこんの!

 いやぁぁぁぁぁぁぁぁ! 男にやられるなんていやだよぉ! そういうことは人間の可愛い女の子とやりたいんだよぉっ!

 よって、猛スピードで最低限の着替えをし、猛ダッシュでリビングまでいった。ボタンは後でも良いや。

 そうして、一気に準備を終え、部屋を出ていった。朝6時5分のことである。いつもよりもなんと25分も早く家を出たのだった。

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