第36話 敗北と銀狼

【魔法: 闇属性 / 回復魔法

固有魔法(闇): 操縦闇弾ダークオーダー

固有魔法: 自然治癒


魔法: 炎属性 / 従魔魔法

固有魔法(炎) 炎弾ブレイズボール

固有魔法: 飛翔


魔法 : 雷属性

固有魔法(闇): 隠密

身体強化魔法(敏捷)

身体強化魔法(防御)

固有魔法 威嚇 (New) 】


「威嚇…か…」


微妙といえば微妙だが、相手の動きを鈍らせられるなら有効か。3人に効いてなかったのを見ると格上には使えないのか。


「ねえねえ、どんな魔法だったの?使ってみてよ。」


イオンが目を輝かせて聞いてくる。


「ああ、今度な。先へ進もう。」


あからさまにガッカリしたイオンだったが、その後も張り切り6〜9層を攻略していった。


この階層になってくると、ゴブリンやスケルトン、ブルーウルフ(狼型の魔物)など、Dクラスの魔物が増えてきたため、3人にも疲れの色が見えてきた。


「おまえら、大丈夫か?」


心配しての一言だったが、逆にプライドを刺激してしまったようだ。


「「「大丈夫っす(だよ)(よ)!!!」」」


こうして、第2のボス部屋へと足を踏み入れた。


で迎えたのは、シルヴァーウルフ。

ブルーウルフの上位種で、Cクラスの魔物だ。身の丈もブルーウルフ(通常の狼ほどの大きさ)の3倍ほどある。さらにはその周りに子分のようにブルーウルフが2匹がこちらを睨みつけている。


「Cクラスかぁ…」


イオンの不安めいた呟きもうなづける。なぜなら、イオンもCクラスベンチャーであり、同格の相手はただでさえ手こずるのにこちらはここまでくるのに多少疲労している。


しかし、そんなことを考えている暇はないことが分かったのだろう。すぐさま弓を引き、放つ。


だが、このときイオンがまだ実践的に未熟であったことはまず最初に、最も戦力の高いシルヴァーウルフを狙ったことだ。


残りの2人もイオンの狙いを確認すると、先の戦闘のように、シルヴァーウルフに向かいもう突撃し始めている。


確かに付与魔法を受けた今の弓矢の速度は凄まじいが、魔物の、しかもCクラスの感覚を持ってすれば、致命的な傷を負わない程度の回避は不可能ではない。


すんでのところで回避し、矢はシルヴァーウルフの皮膚をかすめた、が、キンっと金属音のような音を立てて傷はなかった。


「えっ!?」


もちろんシルヴァーウルフは怯むことなく2人の少女に攻撃を仕掛けようとしている。


そして、その2人を迂回するように2匹のブルーウルフが、次の矢を腰から取ろうとしているイオンへと迫る。


シルヴァーウルフは横薙ぎに右前足を払い、防御姿勢をとる2人を後方へ飛ばし、さらに迫ってその鋭く長い牙をルイズに突き立てようと----


したが、その牙は突然目の前に現れた男の持つレイピアによってへし折られ、体も蹴りとばされた。


少し後方では、腰を抜かしたイオンの前で、双剣によって一撃で命を断たれたブルーウルフ2匹が転がっていた。


「初日は9層までか。随分と期待できるな。」


そう呟いた俺の声を恐怖状態でなく聞いていたのはクロウだけだった。

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