働き者の心臓さんへ

白雨あやめ

Prologue





 拝啓、私の心臓様。




 毎日毎日絶え間なく、あなたが休むことなく鼓動を刻み続けてくれていなければ、私がこうやってあなたへのメッセージを綴ることは出来なかったでしょう。


 私がこの世に生まれ落ちてから今までずっと働き続けていただき、あなたには感謝しかありません。







 さて、そんな大切なあなたへ、お伝えしなければいけないことがあります。



 私がわざわざ伝えなくても、体の内側で起こっていることにあなたはもう気が付いているのでしょうか。







 ――あなたが17年間続けてきたそのお仕事には、もうすぐ終わりが来ることが分かりました。




 今まで必死に勤めていただいたのに、こんなに短い期間で終わりを迎えることとなってしまい申し訳なく思っています。






 私とあなたに残されている時間はあと一年あるかないからしいです。



 でも、残りの人生がこれだけしかないと分かっても、私はその短い時間を悲しむことだけで終わらせる気はありません。


 ですからあなたも、それに協力していただけるとありがたいです。







 どうかあと一年間、元気に過ごしていてくださいね。


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