普通人間

山口 隆二

第1話しがない日常へ

浪人生を初めて一年が経ち二年目が始まった。

僕の高校は進学校ではなく、偏差値もどちらかと言えば低い、ただ三年間時間を潰すような学校だ。だが、とても楽しかった、文化祭、体育祭どれもが充実した日々だった。

僕は、友達もそれなりにいたし恋人もいた。

だがこの時の僕は人生がとてつもなくつまらなくなるということを僕はまだ知らない。


そして、高校卒業間近になった僕は特に進路もなく、たまたま留学のサイトを見つけ半年間海外へ留学した。

僕にとって留学生活は有意義だったかもしれない、だが、いざ日本に帰ってくると何をしたらいいのか、留学したもののこれからどうすれば良いのかわからなかった。

そして、とりあえず大学へ行こうと軽い気持ちで勉強したものの、もちろんのこと大学は何処も受からず挙げ句の果てに当時付き合っていた子にも振られ人生の絶望を味わったのである。当時の感情としては何も考えずただ動物が餌を食べるように、家に置いてあるカップラーメンを好きな時間に食べ、その他の時間はベットに横になりただただ時間が過ぎるのをまった、そしてたまに夜、外に出て薄くフラッと出歩くのである。その時、記憶さえも運んでくれるような冷たい夜風はとても気持ちのいいものだった。そして数週間後、久しぶりに自分の顔を鏡で見た、その時、合わないはずのない視点が合わないように見えたほっぺたはこけて自分でも恐ろしく思えたほどであった、それから美術館入ったらどうにかして、現実逃避したが、やはりその生活はつまらないものであった、そしてある日の夜僕はふと自分がどういう人間なのかを考え直した、高校の時いた友達はもう合わなくなっていたし、毎日絶えず来たメッセージのやり取りが今や無くなっていた。そこで自分特技もなく、普通人間だということにようやく気づくのである。だが、この時人生を180度変える出来事を僕はまだ知らない。

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