銀河商人アシュレー

karmacoma

第1話 プロローグ

━━━これは遥か未来、宇宙暦2550年のお話。


 人類がワームホール航法を確立し、銀河系内は元よりアンドロメダ銀河・さんかく座銀河という外宇宙に進出してから200年の時が経とうとしていた。次々と惑星開発・テラフォーミングを推し進め、生存領域を急速に拡大していく人類に対し、その様子を観察していた地球外生命体は公の場で人類に使者を差し向けてきた。宇宙暦2450年、これが人類とエイリアンとのファーストコンタクトとなる。


 彼らは銀河評議会を名乗り、人類にもその一員となるよう求めてきた。しかし領土問題やその他の諍いから両者は対立し、交渉は決裂。一世紀近い冷戦期間を経て、人類は銀河連合艦隊を創設。宇宙暦2540年、ついにその均衡を破り両者は戦争に突入した。俗に言うエイリアン大戦の勃発である。


 エイリアンの先進テクノロジーに対し、人類は持ちうる限りの叡智を結集した科学力と生産力でこれに対抗。当初は一方的かと思われた戦局を覆し、次第に人類側が押し始め五分の戦力差まで持ち直した。やがて消耗戦となり戦線は泥沼化していく。


 それを受けてエイリアン率いる銀河評議会側が戦線から身を引き、停戦合意の為の使者が銀河連合艦隊に送られてきたことで事態は一変。相互不可侵条約並びに友好通商条約を結んだことで、五年に渡る戦争は終結した。


 ...そこから更に五年が経過した現在。表向き宇宙は平和の中に揺蕩っていた。これは地球から遥か300万光年彼方にあるさんかく座銀河で、お気楽に商売を営むある貿易商人の奇想天外な物語である。



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■用語解説


ワームホール航法


時空のある一点から別の離れた一点へと直結する亜空間トンネルの中を通り、光速を遥かに越えたスピードで目的地に到達するための航法。俗にワープ航法とも言う。エンジンとは別に設置されたハイパードライブを使用して、意図的に空間を歪ませてトンネルの入り口を作り出し、座標を指定して目的地までの出口を作る。2550年現在、この驚異的な技術により、一般的な最大戦速で10光年を僅か10秒間で跳躍出来るようになり、銀河間での貿易が活性化する要因にもなった。



テラフォーミング


テラフォーミング(英: terraforming)とは、人為的に惑星の環境を変化させ、人類の住める星に改造すること。「地球化」、「惑星改造」、「惑星地球化計画」とも言われる。

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