白い空間
誰も居なくなったリビングのテーブルに置かれた俺のスマホに、一通のメールが受信され画面が点灯する。
「‥‥‥見えてますか?」
しかし、それに俺は気づく事はなく、スマホの画面は静かに消灯する‥‥‥
俺がそのメールに気がついたのは、メールが受信されてから、1時間後の事。
リビングにスマホを取りに来て、スマホの画面を見る俺の手は震えた。
見覚えのあるメアド、
そして、「見えてますか?」の一言。
俺はまさかと思い、スマホを持ち、自分の部屋へと急いで戻った。
そして、すぐに返信をするが‥‥‥
「ダメだ‥‥‥送れない」
そして俺は電話を掛けたが、やはり繋がらなかった。
俺はその後も、何度もメールを送り、電話を掛けたがダメだった。
何故、俺はこんな時にスマホを持っていなかったんだ!
何故、今になって彼女からメールが来たんだ!
何故なんだ!‥‥‥くそっ!‥ちくしょう!
俺は何度も悔やんだ。
悔やんで、悔やんで、俺は彼女から送られたメールの一言の画面を見つめながら、ベッドで横になった。
「会えないのか‥‥‥俺は‥」
そう思いながら、無駄な時間が過ぎていく。
そして俺は‥‥‥
いつのまにか、
寝てしまった
‥‥‥‥‥‥
‥‥‥
‥
‥‥‥まるで無音。
‥‥‥まるで何も無い世界。
ただあるのは白い空間‥‥‥。
誰もいない、地平線が見えるほどの
ただ、だだ白いだけの空間‥‥‥
その場所に俺は
‥‥‥この場所は‥‥‥
俺は、ゆっくりと辺りを見渡す。
目の前を
地を
空を
ただ白いだけの空間を‥‥‥世界を。
けど‥‥‥俺は見覚えがある。
この空間を、世界を見覚えがある!
いや!忘れるわけない!ここは!‥‥‥
「彼女と会った場所だ!」
俺は辺りを見渡す。先程とは違う勢いで。
辺りをくまなく探すように。
彼女を‥‥‥彼女を俺は探す。
「ヒロミイイイーーーーーー!」
俺は叫んだ!声が出なくなるまで叫んだ!
彼女の名を。俺と同じ名を。
なんどもなんども叫んだ!
そして探し回った!
けど‥‥‥
周りは白い空間。まるで自分がその場から動いてないような錯覚まで起きてしまうような、ただ、体と心が疲れていくだけの空間。
「やっぱり‥‥‥けど!会いたい!会いたいんだ!例え夢の中でも!」
俺はその時、さらに叫んだ。
心の奥底から叫んだ。
この白い空間で、誰も居ないこの空間で。
例え、この場が夢の中であっても。
だがしかし‥‥‥
「‥‥‥ヒロミ‥‥‥」
虚しく響くのは、俺の叫ぶ声のみ。
この白い空間の無音の様な世界、
誰一人いない世界、
俺の夢の中の世界、
「だったら会わせてくれよ!俺の夢の中なら!彼女に会わせてくれよ!」
俺が拳を握り、悔しそうに叫んだ時
『夢?違うよ現実だよ!』
「えっ?だ、誰だ!誰か居るのか!」
突然の声に俺は驚き、辺りを見渡すが、誰か居る気配がない。
「誰だ!」
『う〜ん、誰て言われてもねー。まあ、簡単に言えば、この空間を管理、いや違うかな。この世界を管理する者だよ』
「はあ?この世界を管理する者?」
『そう』
「じゃあ、神様かなにかか?」
『それとも違うね。う〜ん、なんて言えば‥‥‥あっ!精霊に近いかな』
「精霊?」
「うん。と!こんなことしてると時間が!兎に角、単刀直入に言うね。君の世界と彼女の世界を融合するね』
「はあ?融合?夢を融合するのか?」
『だから、夢じゃないって!だったら自分の顔をひっぱたいてみな』
謎の声に言われ、俺は自分の顔をひっぱたいてみた。
「パァーン!ツッ〜痛い!」
『だろ。これでわかったかい』
「あ、ああ。けど世界を融合て一つにするのか?」
『うん、そう言ったろ。彼女も君に会いたがっているし』
「彼女を知っているのか!」
『イヤと言うほどね。君が、男の朝日 ヒロミが女として生まれた世界の朝日 ヒロミ、彼女をね』
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