景色

扇子に書かれていた文字の美しさに

見惚れ続けてしまえるほどに

勝負はついてしまった後だった


あの時聞こえてきたペンの音は

とても義務的だった

春を刻むためだけに


全く届かないところに伸びた枝に

追いつける日があるとしたら

そんなことを思いながら頭を下げた


太陽は感じることしかできなかった

何度も葉を落とし枝を折り

いくつもの木々に追い越され

それでもなお

追いかけたいと願っていた


二十五年の時を経て

その高さには届かなかったけれど

上を向くことでしか見えない景色を知れたよ

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