第六話 恋草

花火大会か数日が経った。私はあの時の感覚を今でもまだ忘れられずにいた。今までの友達や親友とも幾度となく手を繋いできたけれど、あの感覚を味わったのは、今回が初めてだった。


ただ単に、びっくりしたからだったのだろうか。だが、私が那智に“友情”と呼び難い感情を抱いたことは今までに何度かあった。


「これからどうしよう・・・・・・」


ため息混じりに呟いた。もし、もし本当に私が那智を好きだったとすれば・・・・・・二人とも不幸になるのは、明白なのに。


この気持ちに名前をつけてしまったとしたら、諦めることも、出来なくなるのに・・・・・・。


頭で考えていたって何も解決しない。とりあえず、現状を書き出してみよう。

そう思い直し、私は机の引き出しを開けノートを取り出した。

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