13、ナンパ? はい、ナンパのようです
「ったく、騒ぐな暴れんな。俺らはただデートに誘ってるだけじゃねぇか」
「わたくしはちゃんとお断りしました! それなのに無理矢理こんな所まで……話になりません、おどきなさい! わたくしは学校に向かいます!」
「おいおい、そう邪険にするなっつーの」
路地の角を折れること3回、ようやく声の出所に辿り着いた。
狭い路地を蠢く男達は、重なって見えている事も考慮すれば概算で7人か8人。その中心にいる筋骨隆々な男がこの集団のリーダーだろうか。
気丈に言葉を叩き返しているらしき若い女性の姿は男達に隠れて確認できないが、取り囲まれて身動きが取れない事は想像に難くない。
「……聞く限りでは、ただのナンパみたいだけどねぇ」
ヴェネは曲がり角に張り付き、慎重に男達の様子を盗み見ていた。彼らを発見してから1分程経ったが、その間、彼らは今の様な会話を延々と繰り返し続けている。
「どうしますか? ヴェネさん」
同じくしゃがんで曲がり角に張り付いているミオナが小声で尋ねる。一応名前は覚えておいてくれたんだ、と妙な感動を覚えながら、改めて彼らを観察した。
「そうだね……」
視線を男達に、いや、男達が纏う〝衣服〟に注ぐ。
模倣犯事件に関わっている者は、〝
彼らの模倣のオリジナルと言える〝
(とは言え、あの人とは似ても似つかない、か)
〝雲狐〟ライラ・ヴァイルブスについて、ヴェネは人並み以上には知っている。その黒装束も幾度となく見た事があった。
彼らは全員、黒い服を着ている。が、間違っても黒装束などではない。黒というカラーで統一するルールを設けているだけの集団、とでも考えた方が無難だろう。
「女の子があちら側にいる以上、下手に刺激するのもちょっと、ね」
めんどくさ。口の中だけで本音を転がし、ヴェネは打つべき手を思案し始める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます