第2章の2「めたるかーびぃ氏」

2-2-0 (第2章の2 まえがき)

 こんにち、あるいは今までのひざのうらはやおの書くものは、おおざっぱに分けると、世界の空気がぼくらの生きているものに近い小説と、そうでないものになるだろう。ぼくはもともと、後者、つまりそうでないものについて書き続けていた。上巻ではとくに学生時代の小説からそれを読み解くことができるだろう。それは、単に「ここではないどこか」を考えるのが好きだった、というのが端的な理由ではないかと考える。

 つまり、ぼくが現実世界に近い空気を書き始めたのは、ぼく自身が、現実世界により深くコミットせざるを得なくなってしまったから、ということができる。

 現状、ツイッターなどから察するに、ひざのうらはやおという書き手は、前述した中でいえば、ぼくらの生きている世界に近い空気を描いたものをより評価されている傾向にある。おそらく、それもまたそういった作品を増やすことにつながっていったはずだった。

 ここで、本来であれば「順列からの解放」をひっさげ、いよいよ全国を飛び回りぼくがひざのうらはやおとしてその知名度を飛躍的に向上させていくところを回顧していくところであるが、少しだけ、ぼくが本当に書きたかった(のかもしれない)そうでないもの、について考えたところや、「かれ」がまだ「おもちくん」という最終形態に進化する前に起きたことなどを整理するために、本来は存在していない「めたるかーびぃ氏」という概念を用いて、回顧していこうと思う。

 そのような経緯から、後述される「めたるかーびぃ氏」の章は「第3章」ではなく「第2章の2」としている。

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