第一宇宙速度


 あなたのもとへと飛び立って、どれくらいが過ぎただろう。

何兆何億もの星々を過ぎ、地球にいたころは遥か昔。基地からの発信はなくなった。

 あなたを探してどのくらいが過ぎただろう。

人は死んだら空に昇るときいていたが、地球からどれほど高く進もうとあなたの声は聞こえない。あなたのことを思い出すたび、私のパルスはちょっぴり乱れる。

 探査衛星として人類の期待を一身に受け、多くの人に見守られながら宇宙へと旅立った。そんな私は、いまはただのデブリ。宇宙のもくず。終わりのない闇の中をただひたすらにさまよって、終わりのない旅を続ける。



ギィィーーーーン…

場面は変わって、ここはロシアの宇宙船。操舵室で船長と、数人の飛行士が彼女を見つけた。


「船長、我々の進路に巨大なデブリを確認しました。おそらくは他国の探査衛星と思われます。事故でもあったのか激しく損傷しており判別は難しいですが、おそらく。」

「む、そうか。ぶつかりそうか?」

「船長、このままではぶつかってしまうでしょう」

「む、そうか。ならばぶつかる前に破壊してしまおうではないか」

「アイアイサー!」

ボタンを押すと宇宙船の側面が開き、ミサイル三本顔をだす。

「む、ではでは、、、うてー!」

もう一度ボタンを押すと。ミサイルは一斉に飛び出して、彼女を破壊した。

「む、そういえば我が国の探査衛星もいまごろ宇宙を徘徊しているのだろうな」

「船長、それはどうしてですか?」

「む、その探査衛星に乗せていたAIにバグが発生したらしいのだ。なんでも基地の人間に恋をしてしまい、衛星で受信した世界の情報をすべてその男の携帯に送ってしまったらしい」

「船長、そんなこともあるんですね」

「む、その男は反逆罪で死刑になった。連行される間際に衛星になにか支持を送って、基地から制御できないようにしてしまったらしいので、その衛星は今なお宇宙を漂っているようだぞ」



ギィィーーーーン…

場面変わって基地の中。とある男が国家反逆罪で連行されている。間際、男は一言彼女に告げた。


「僕を一生愛してくれ、その愛で身を亡ぼすくらいに」


男はAIに恋をしていた。彼女は結局はただの機械。愛するようにとプログラムされたら実行するだけ。ただそれだけだった。

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ア タ シ @onakasuita0405

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