第20話 『糖尿病』決して人事じゃないのです。

 こんにちは。


 ちょっと私もゆきのさんも共に体調不良のため、間が開いてしまいました、すみません~。

 今回はめずらしく(笑)ゆきのさんの「やらかし」ではなく、ゆきのさんの御友人の体験レポートを送ってくれてので、それをご紹介します。


 今回も解説は最後にまとめてやりますね~


 では、ゆきのさんのレポートです。 


 他人の体験記であろうと、朝樹は突っ込みます(笑)




 ◇ ◇ ◇



 初めに宣言します。


 今回の恐怖体験はシルベスター・ナナサワに起きたものではございません。


 ↑え―ホントですかぁ?(半目)



 最近のナナサワは大人しいものです。怪我も火傷もしておりません。

 寝込んでちょっと皮膚が腐ってるくらいです。


 ↑ちょっとおぉぉおお!進歩してないじゃないですかぁぁぁ!!



 なので以下は友人の恐怖体験です。

(本人だって特定されなきゃ書いていーよwwwと許可をもらっております)


 ある夜。友人から連絡が。


「賞味期限が4日前のサーモンのお刺身食べてから、三日くらい高熱と嘔吐と下痢が止まらなくて何も飲めない食べられない。ゆきのんたちのエッセイ見ると食中毒っぽいけど病院行った方がいい?」


「行け」


「もうすこし様子見ようかと思ったんだけどさー」


「三日様子見たら十分でしょ!これ以上様子見てどうすんの!」


 嘔吐と下痢だけならともかく、『三日間なにも飲めない』『高熱』というのが気になり、とにかく救急外来の受診を進めました。


 このままじゃ脱水でどうにかなっちゃう!というのと「食中毒で高熱……?」というのがあったからです。


 ↑食中毒でも高熱が出るものもあります。でもこれは正しい判断です。と言うか、一晩飲めなくなったら受診して下さいね~ 三日は待ちすぎです。



 そしてその後友人から予想もつかない連絡が!


『ゆきのん、うち、透析寸前だって』


「え?!O157かなんかだったん?!」


『ううん……重度の糖尿病だった……』


 ……ヒェッ?!


 そうか……悪心も嘔吐も尿毒症の症状だったのかー!!!

(↑朝樹さん説明お願いいたします―)


 ↑はい。後でまとめて書きますね~



 普通ならばここまで末期の糖尿病性腎症に至るまでに、健康診断などで血糖値の異常などを発見されるはずですが、友人は定期的に健康診断を受けていない人だったので、自分が糖尿病にかかっていたことすら気づいていなかったようです……。

(糖尿病性腎症・その他合併症・人工透析の辛さについては朝樹さん解説お願いします―)

 ↑こっちも了解。



 ちなみに友人は若くて中肉中背、多くの方がイメージするふっくらめで中年の糖尿病患者さんの姿とはかけ離れています。


 ここから、糖尿病を発症するにもかなりの個人差があることがわかります。


 参考までに。


 シルベスター・ゆきのの父は若いころから体型がカーネル・サ○ダースそっくりです。


 しかし彼は今でも健康そのもの。

 健康診断で動脈年齢が20代だったと判定されたとキャッキャしている可愛いカーネルです。

 このように、生活習慣病のダメージに人体が耐えうる閾値は人によってかなり違います。

 特にご両親や近親者に若いうちから糖尿病や腎臓病を発症した方がいる場合は、こまめな健康診断でのスクリーニングをお勧めします。


 透析は、地獄です。




 ◇ ◇ ◇




 と言う訳で、今回のお題は「糖尿病」。と、それに付随する合併症を少しお話したいと思います。


 国民病とまで言われるようになった糖尿病。

 皆さま、どんなイメージを持っていらっしゃるでしょうか。


 医者の言うことを聞かないで暴飲暴食をした人?


 お腹がでっぷりと出ている中年以降の人?


 それがそうでもないんですよね~。


 糖尿病の発症因子は、一番は遺伝ではないかと言われています。


 もちろん食生活も大きいのですが、同じような食生活でも同じような身長体重でも、発症するかしないかは遺伝要素が大きいようです。


 その他には私のように薬剤性の二次性の糖尿病。(私はステロイドでしたが他にもあります)


 膵臓が感染などで機能不全になったり、妊娠で発症することもあります。


 (なので、昨今言われている、透析患者は医者の言うことを聞かなかった自業自得患者だと言う論調にはかなり違和感を感じます)


 で。


 この糖尿病、発症が結構ゆっくりなことが多いんですよね。(たまに急激に発症して救急搬送される方もおられます)


 なのでお勤めの方等は、年一回の健康診断で「要注意ですよ―」とか言われることもあります。

 この段階で食生活や体重のコントロールを上手にやれば発症を回避、ないし遅らせることも可能です。


 だけどこの、年一回の健康診断をしない人達。


 専業主婦や非正規労働の方々が、発見が遅れる事があるんですよね。


 自治体にもよるのですが、大体40歳を過ぎたら無料の検診が受けられる制度があると思います。


 病気は突然やってきます!(握り拳)

 予防できることは予防しましょう!


 そもそも、「糖尿病」と言う病名でありながら、尿から糖が出たら既にかなり進んだ段階と言うこの病気。


 それに何で尿から糖がでるのでしょうか?


 尿を創るのは腎臓です。


 腎臓と言うのは、ほそーい血管の集まりです。

 その細い血管に、濃度の濃い(血糖の高い)血液が流れる。

 そうすると、その細い血管達は段々痛んでくるんですよね。


 痛んだ血管は、腎臓本来の働きである『血液中に老廃物を排出する』事が出来なくなってきます。

 この、血中の老廃物を排出できなくなる状況が、『尿毒症』です。


 今回のゆきのさんの御友人は、この尿毒症の症状で気分が悪くなったり吐き気がしたり食べられなくなったりしていたのだと思います。


 そして、水分が排出できなくなれば、身体がむくんできたり血圧が上昇したりします。


 いよいよ腎臓がこれらの機能を失ってしまったら、待っているのが人工透析です。


 初発の尿毒症の場合、入院治療で一旦は回復する可能性は高いと思いますが、それでもこの先気をつけないと透析になる可能性は十分あります。


 透析は通常週三回、約三~四時間かかります。


 普通のお勤めの方だったら、週三回も半日休めますか?


 例えそんな制度があっても、透析の後お仕事ができる人がどの位いらっしゃるでしょうか?


 透析と言うのは血中の老廃物と一緒に排泄できなくなった水分を捨てる機能もあります。

 三~四時間の間に三リットルとかの体液を引いて、きつくない筈がないんです。


 しかも透析は、針が太いんです!


 病院では16Gゲージと言うつまようじくらいの太さの針を使用します。

(もしナナサワが見たら気絶するかもしれない太さです。予防接種や採血とは針の太さのケタが違います)


 当然痛いです。それを週三回。


 それと、細い血管が障害されますので、眼底網膜の血管も痛みます。

 その結果は目のかすみから失明まで様々です。


 あと、有名なのは神経障害でしょうか。

 足が腐って切り落とした、とか言う話を聞いたことはありませんか?


 足先の細い血管が詰まっていって、最終的に腐ってしまうのですが、救急外来に足の指が真っ黒になったと言って受診される方が、実は結構います。

 整形の先生方は救急外来で、麻酔もなしに真っ黒になった部分をザクザク切り落としていきます。(その後手術室でしっかり切断する位置を決めて手術になる)

 ただ、もう腐ってしまった部分は痛くないんです。

 神経が麻痺してしまっているんです。


 その他にも心筋梗塞・脳卒中のリスクは格段に上がります。


 と、まぁ重症になると大変な病気なので、『早期発見』!これに限ります。


 早いうちなら食事療法と飲み薬だけで何とかなったりもします。

 若い人はインシュリンの注射を勧められることが多いと思います。

 注射の方が血糖のコントロールがしやすい上に確実です。先が長い分だけしっかりコントロールして行きましょう!


 糖尿病は新薬も結構出て来ていて、『ガッツリ食事療法!!』とは昔ほどは言われないようになってきました。それでも必要ですけどね。

 食欲を抑える注射とかもあります。

 尿からわざと糖を流して、体重をコントロールしようと言う飲み薬もあります。


 その人の重症度や体重・食生活などに応じて使う薬の選択肢は広がってきました。

 なので糖尿病と言われても、即「透析?!?」とか「足切断!?!?」とか思わなくてもいいです。


 そのためには『早期発見』!!


 『早期発見』!!!


 もう一回『早期発見!!!』が一番大事なんです!!


 専業主婦の方、フリーターの方、ニートの方。

 検診は年一回受けて下さい!!!


 今回はこの辺で。


 文責:朝樹

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