第32話 ブレークスルーの森

今回来ている森は駆け出し冒険者を越えた者達が依頼を受けに来ている場所である。だからと言って、森の奥に行かなければ駆け出し冒険者でも問題はないのだが!

 今回依頼を受けたツンツンスパイダーの糸は細く硬い為に、建築などに良く使われている。地球で言うと針金みたいな感じだ。

 スネークデビルは、地球で言うとコブラに近いが、毒ではなく精神を壊す闇魔法を使うために厄介ではあるが、熱感知をしてるはけでもなく視野が狭い為、背後から攻撃をしたら簡単に倒せる。ただ視力は良いので、先に見つける必要がある。


 「依頼はどちらからします?」


 「先にツンツンスパイダーからしましょう。」


 鋼の心臓に聞かれ、リーリンが答える。


 「依頼本数は五千本だから五匹討伐ですね。」


 「あらっ討伐はしないはよ?」


 「えっ?」


 リーリンの討伐しない発言に驚く二人。一匹に約千本の糸を腹の中で持っているから、殺し、腹をさいてから取り出すのが普通のやり方なのだが!


 「ツンツンスパイダーが好きな匂いを放ち集め、後は両端からこの玉を投げ合えば集めきれるわ。」


 ツンツンスパイダーは動くものに糸を飛ばす性質があるために、今回ボロ布を丸めて持ってきた理由が今わかった二人は尊敬の眼差しを向ける。


 「スネークデビルも簡単に倒す方法があるのですか?」


 「スネークデビルは上に攻撃が出来ないから、木の上から移動して見つけて回り込めば簡単に倒せるわ。」


 「えっ?そんな情報初めて知りました。」


 「私が偶然見つけただけだから他の冒険者が知らないだけかもね。」


 「そんな貴重な情報教えて良かったのですか?」


 冒険者には、独占に利益をあげるため、情報を渡さない人は多い。それなのに、簡単に情報を提供するリーリンに驚く二人である。


 「対した事ないわ。」


 そもそも木の上を簡単には移動できるわけではないので、おおよその生息する場所を把握してなければ意味がない。

 万一遭遇した場合の逃げかたを教えただけの事である。それに木の上にも危険なモンスターはたくさんいる。


 「二人にはツンツンスパイダーの糸とクウヤをお願いするね。私はスネークデビルを討伐してくるわ。」


 「解りました。気をつけて!」


 二人にクウヤを預けて、森の奥へ行く。スネークデビルは沼地のぬかるんだ所におり、足音などに反応して、視界に入れば背後から近づき、後をつけて一人になった所を攻撃をするため、間違った生息エリアが伝えられている。もちろんリーリンはそれを知っている為、沼地付近になると木の上に登り探す。スネークデビルは交尾するとき以外は常に一匹で、テリトリーも決まっているために、探すのに苦労はするが、見つけさえすれば簡単に倒せる。今回も探すのに一時間はかかったが倒すのに数秒で終わり、鋼の心臓やクウヤの場所へ戻る。



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