第十六話 訪問客

   

「……そんなわけで、あたしは昨日、ファバの父レグから頼まれたのだよ」

 ゲルエイ・ドゥは自分の部屋で、みやこケンに対して、呪術者を探すことになった顛末を語って聞かせた。

 ファバ・ミナたち四人の肝試しの話から始まって、騎士学院の秋キャンプにおける転落事故、そして最後にはファバが川に身投げして死んだこと……。これらを語るのは当然として、南中央広場でのちょっとした揉め事についても、ゲルエイは話している。

 ゲルエイがレグから相談されていた時にニュース屋の女が絡んできたこと、そしてピペタ・ピペトが仲裁に割って入ったこと。その点を述べておかないと「おそらくピペタは事情を知っている、だから『幽霊教会』で集まる前にケンだけ召喚して話しておく必要があった」という理由を説明できないからだ。

 ついでに、ファバの自殺を目撃したのがピペタの部下であることも、その部下がファバの葬儀に来ていたことも、ゲルエイは話して聞かせた。相手の三人の父親の中にピペタの同僚がいることも含めて、この件にピペタが深く関わっているという状況を、ケンにも理解してもらいたかったからだ。


「呪術者探しですか……」

 一通りの話を聞き終わって、まずケンの第一声が、それだった。

「でも、ゲルエイさん。本気で探すつもりなんてないですよね? わざわざ僕を呼んだり、例の『幽霊教会』で集まって相談しようとするくらいだから……」

 ケンは、ゲルエイの話の途中で、剣道着を脱いで、この世界の格好に着替えていた。

 この場にはゲルエイしかおらず、その上、誰かがたずねてくる予定もないのだから、別に剣道着のままでも構わない。ゲルエイはそう思ったのだが、ケン自身が、剣道着を着用し続けるのは嫌だったらしい。

 ただし、そうやって『着替えながら』聞いていた割には、ケンは、話の本質を理解していたようだ。

「……そのレグって人からの頼みを、復讐屋の案件にするつもりなのでしょう?」

「そう受け取ってくれるなら、話が早いよ」

 ゲルエイは、軽く笑ってから、真剣な表情でケンに尋ねる。

「それで、ケン坊は、どう思うんだい? この話、復讐屋の仕事として引き受けてもいいと思うかい?」

 今回ゲルエイがケンを召喚したのは、事件の概要を知らせるためだった。ケンの意見を聞くのは、ピペタも同席する『幽霊教会』で行うつもりだ。だが、ケンが話を聞いたばかりの時点で何を考えるのか、先に聞いておくのも悪くない、とゲルエイは思ったのだった。

「うーん、どうでしょう……」

 ケンは、少しの間、思い悩む表情で黙ってしまう。

 それから、考えを決めたらしく、ゆっくりと口を開いた。

「僕個人の考えとしては、確かに、復讐屋の仕事だと思いますね。レグさんが、三人を強く恨んでいるのですから……」


「へえ。ケン坊は、そう思うのかい」

 ゲルエイは、少し意外な気がした。てっきりケンは反対すると、ゲルエイは思っていたのだ。

 ケンも復讐屋の一員であり、これまで何度も裏の仕事に参加している。標的の命を奪う仕事を手伝っている。しかし、彼一人で標的を仕留めることは、まだ出来ていなかった。あくまでも、誰かの『手伝い』をするだけだった。

 根本的には、ケン自身の度胸の問題なのだろう。ただ、彼の言葉を信じるならば、ケンが異世界人であることも関係しているらしい。ケンの世界は、この世界ほど人が死なない世界であり、この世界以上に「命が重い」のだという。

 そんなケンであれば、レグの恨みの理由は「命を奪うには値しない」と言い出しそうなものだが……。

「レグは、相手を呪い殺したいとまで言っている。だから、三人の若者が死ぬことになるけど……。いいのかい?」

 ゲルエイは、その点を確認するかのように、あらためて尋ね直した。

「うーん。話を聞く限り、その三人って、僕と同い年くらいでしょうね。だから僕だって、かわいそうだとは思いますよ。でも、依頼人に恨まれている以上……」

 そこで一度、言葉を切ってから、ケンは軽く首を横に振った。

「いや、そうですね。確かに、その三人を殺してしまうのは、少しかわいそうだ。今回の話、標的の三人は、殺されるほど悪いことをしたようには思えない」

 ゲルエイやピペタのように、ケンだって「復讐屋に善悪の判断は介入しない。大切なのは、依頼人の恨みの感情だけ」という原則は、十分理解している。それでも敢えて「殺されるほどの悪いことではない」と口にしたのだった。


 復讐屋が、自分たちで善悪の判断をくださないのは、「悪を悪とも思わない」という意味ではない。例えば、復讐屋という仕事が非合法の裏稼業であることは承知しており、その時点で『悪事』と認識している。むしろ自分たちを「人知れず悪を裁くような正義の味方」と自惚れないためにも、「勝手に善悪を判断するのは良くない」と戒めているのだ。

 善悪に基づいて復讐を行うのではなく、あくまでも依頼人の感情に則して復讐を実行する。その意識を強く持つことで「自分たちは正義の味方などではない」と釘を刺しているのだった。

 また、そもそも『復讐』には、どちらが善でどちらが悪か、一概には決められないという側面もある。

 例えば、誰が見ても悪人と思えるような人物が仇討ちで殺された場合。その仇討ちによって、一つの『復讐』は完遂されたのだろう。しかし、その『悪人』に、罪もない妻子がいたとしたら……? その場合、今度は残された子供の方が、相手に『復讐』の気持ちをいだくかもしれない。その『復讐』が実行されれば、また残された家族が……。

 つまり、復讐の連鎖だ。これがあり得るからこそ、『復讐』を代行する者は、簡単に「どちらが悪いのか、そもそも何が悪かったのか」を考えてはいけないのだった。


「ファバという少年は、直接的には、殺されたわけではないのですから……。レグさんの『恨み』を晴らすとしても、相手を殺す必要はないでしょうね。三人もファバと同じように呪われた、と思えるような形を作ってあげれば……」

「要するに、ケン坊としては、仕事を引き受けることには賛成。ただし『呪い殺す』という段階までやる必要はない。最初のファバの転落事故と同じくらいの『呪い』に見える結果を出せばいい、ということかい?」

「まあ、そんなところです。だいたい、レグさんだって、口では『呪い殺したい』なんて言っていても、実際には相手の命を奪おうなんて思っていないかもしれませんよ。言葉に出した時点でオーバーになっただけで」

 言われてみれば。

 昨日の墓地で、レグが呪術者の話を持ち出した時、最初は『呪い殺したい』とまでは言っていなかった。むしろゲルエイの方が、レグの気持ちを汲んだつもりで「誰かを呪い殺したいのか」と尋ねたのだった。

 そうやってゲルエイが昨日の状況を思い返していると、ケンが、面白いことを言い出した。

「僕は、直接レグさんから聞いたわけではなく、あくまでもゲルエイさんを通しての話だから、実際はどうなのか知りませんが……」

 わざわざ前置きを述べた上で、ケンは続ける。

「今の話から受けた印象では、レグさんが三人を恨んでいる理由は、肝試しの強制参加の一件だけではないと思いますよ」

「ほう?」

「ファバは、日頃から三人にいじめられていた……。それも関係しているんじゃないですかねえ?」


 ゲルエイがレグから話を聞いた時にも、彼女自身がレグに対して「良く言って『からかわれてた』、悪く言えば『いじめられてた』って感じ」と口にしている。そうした立場だからこそ、ファバが『魔女の遺跡』の話を断れなかった、という部分もあるのだろう。

 それでもファバがフィリウスたちと友人関係を続けていたことに対して、レグは「騎士階級とのコネ作り」ということで、肯定的な捉え方をしていた。だが、口ではそう言っていたものの、深層心理では、好ましくないと感じていた部分だってあるのかもしれない。

「ケン坊は、こう言いたいのかい? ファバをいじめていた三人だからこそ、肝試しの件は別にしても、レグは三人を恨んでいるのではないか……」

「そうです。それに……。いじめそのものも恨んでいただろうけど、それが騎士の息子たちというのも、大きいんじゃないですか? 騎士に対する失望、みたいな感じで」

「失望?」

「そうです。今の話だと、レグさん、騎士ってものに憧れをいだいていたみたいですから」

 確かに、レグは騎士道云々を話に持ち出していたし、息子を騎士学院に通わせた理由として、幼い頃からの『立派な騎士への憧れ』も口にしていた。

「もちろん、僕の国には騎士なんていないし、騎士と庶民のような身分の違いもないはずだから、あまりピンと来ない感覚なんですけどね」

 ケンの口調は「最後に付け加える」という感じだった。これで意見は全て述べた、ということなのだろう。

 ならば、あとは『幽霊教会』で集まって、ピペタの考えを聞くだけだろうか。

「そうだねえ……」

 レグが騎士に憧れていたのは事実だとゲルエイも思うが、だからといって、騎士への失望が三人の少年に向けられるというのは、それこそ筋違いではないだろうか。

 いじめのことをケンが話に出してきた時には鋭い見方だと思ったが、騎士への羨望をレグの恨みに絡めるのは、少し視点がぼやけたように感じた。


 そうやってゲルエイが考えをまとめたところで、ケンが、再び口を開く

「ところで……。話に出てきたニュース屋の女の人は、この一件に、どう絡んでくるのですか?」

 ケンは、少し話題を変えてきた。

「ニュース屋かい? 特に気にする必要はないよ。あの女が、レグに恨まれることはないだろう。でも、少し面倒のタネにはなるかもしれないね」

 ゲルエイは、昨日のファバの葬儀では――教会でも共同霊園でも――、ニュース屋ディウルナ・ルモラの姿を見かけていなかった。

 だがディウルナは、転落事件程度でも『魔女』の呪いということで、大衆紙に載せようとしていたのだ。その関係者が亡くなったと知れば、さらに話に首を突っ込んできそうだ。そうゲルエイは思うので、その意味で、ディウルナは厄介な存在という扱いになるのだった。

「どんな女の人です? 可愛い娘さんですか?」

 ディウルナの容姿に関心を示す、ケンの表情を見て。

 ゲルエイは「またケン坊の悪い癖が出たな」と、心の中で苦笑していた。


 以前にゲルエイが聞いた話では、ケンの通う『高校』は『男子校』と呼ばれる教育機関であり、女人禁制なのだという。ただし一般的な十代の少年少女と同じように、ケンも異性には興味がある。特に、後腐れのない別世界――こちらの世界――に来た時には、その気持ちが強くなるようだ。以前にケンが向こうの世界の『旅の恥はかき捨て』という言葉を口にした時に、ゲルエイは、彼の心境を察していた。

 また、ケンに言わせると、この世界は「女性の容姿のレベルが高い!」ということになるらしい。それで余計に、こちらの女性に関心をいだいてしまうのかもしれないが……。


「聞いてどうする? どうせケン坊は、ニュース屋とは会う機会もないはずだよ。それに……。美人かどうかはともかく、少なくとも、若い娘ではないからね」

「ゲルエイさん、僕は、きれいなお姉さんも好きですよ。例えば、モノクお姉さんとか」

 殺し屋モノク・ローの名前を挙げたケン。

 ゲルエイは、彼を鼻で笑う。

「ふん。殺し屋が『きれいなお姉さん』だって? まあ、ケン坊の審美眼には、今はコメントしないでおくとして……」

 言外にケンを軽くけなしてから、ゲルエイは、ディウルナについて、さらにケンに教えてやった。

「とりあえず、ニュース屋は、殺し屋と同じくらいの年齢かな。あたしより、少し老けて見えるだろうね」

 ゲルエイは、自分を基準にするのだが……。


 自身の年齢について口に出来るのも、ゲルエイがケンを仲間として認めているあかしなのだろう。

 ゲルエイは、左右に垂らしたブルネットの三つ編みがよく似合う、丸っこい顔立ちをしている。パッと見た感じでは、二十歳くらいと思われることが多い。

 しかし実際には、彼女は、すでに百歳を超える老婆だった。若い頃に不老の魔術を習得したゲルエイは、その魔法の実験台として自分自身を用いており、それ以降、外見的には全く年を取らなくなっていた。

 ただし、彼女が不老の魔術を使ったのは二十九歳の時であり、それなのに『二十歳くらい』に見えるのだから、もともとゲルエイが童顔だったのは間違いないだろう。


「ゲルエイさんの年齢を基準にするのは、ずるいですよ」

 ケンが苦笑したところで。

 トン、トンと扉をノックする音が聞こえてきた。

「誰か来客の予定でも?」

「そんなわけあるかい」

 ケンに対して即答するゲルエイ。

 もともとゲルエイの長屋を訪れる者など少ないし、人が来る予定があるとしたら、こうしてケンを呼び出して長々と話をしているはずがない。異世界人であるケンと一緒にいるところは、あまり他人に見られない方が良いのだから。

 それに、ゲルエイが「今日は休み!」と決めたのは、朝起きた時点だ。本来、彼女は今ここにいなかったはず。誰かがゲルエイに会いたければ、長屋ではなく、南中央広場へ出向くのが普通だった。

「誰だろうねえ?」

 呟きながら首をかしげて、ゲルエイは、入り口の扉へ近寄る。そして扉越しに、外へ向かって大声で叫んだ。

「誰だい?」

 すると。

「あっしですよ。占い師のゲルエイさんを訪ねて参りました」

 聞き覚えのある声が返ってくる。特に名乗らなかったが、女の声で『あっし』なんて言うのは、ゲルエイの知る限り、一人しかいなかった。

「ああ、あんたかい……」

 気は進まないが、とりあえず応対しないと、帰ってくれないだろう。

 そんなゲルエイの気持ちは、声に表れていたらしい。部屋の奥からケンが、好奇心に満ちた顔で尋ねてくる。

「誰です? ゲルエイさんの知り合いですか?」

「『噂をすればなんとやら』ってやつだ」

 ケンに返すと同時に、ゲルエイは「ケン坊が着替えてくれていて、助かったかもしれない」と思う。もしもケンが召喚された格好のままだったら、それこそ、あの女の好奇心を掻き立てたに違いない……。

 そう考えながら、ゲルエイは、ガチャリと扉を開ける。

 目に前に立っていたのは、ゲルエイの予想通りの姿だった。

 明るい茶色のスーツを着こなし、ふんわりとした金髪を、丸顔に似合うようなボブカットに整えた女……。

「こんにちは、ゲルエイさん」

「やっぱり、あんただね」

 ちょうどケンが気にしていた女、ニュース屋のディウルナ・ルモラだった。

 

「何しに来たんだい?」

 その場から動かずにゲルエイが問いかけると、ディウルナは、それには答えず、困ったような顔を見せた。

「ゲルエイさん。これでは、あっしは部屋には入れないんですが……」

 ゲルエイは、扉は開けたものの、ちょうど入り口を塞ぐような形で立っているのだ。まるで「部屋に上げる気はない」と全身で意思表示しているかのようだった。

「もう一度だけ聞くよ。あんた、何しに来たんだい?」

 動こうとしないゲルエイに、

「仕方ないですね。ここで立ち話ですか……」

 一つため息をついてから、ディウルナは、ようやく答えた。

「もちろん、あっしの来訪目的は取材ですよ。南中央広場に行きましたが、ゲルエイさん、いなかったのでね」

「ああ、今日は休みにするつもりだったんだよ。いや、休みは午前中だけかな? 午後からは行こうかな、という気もあったんだけどね」

 ゲルエイはケンと長話をしていたが、まだ午前中だった。

 一方ディウルナの方は、今まで広場にいたらしい。そこで『取材』と称して露天商たちから話を聞き回っていたのだろうか。

「広場の連中だって、あたしの長屋の場所は知らないはずだけど……」

「そこは、ニュース屋の取材能力ということで……。ゲルエイさんの家を突き止めることくらい、あっしには簡単なことです」

「それなら、その『取材能力』とやらを、他へ向けてくれないかねえ? あたしに話を聞かずとも、他に取材対象なら、いくらでもいるだろう?」

 どうせディウルナは、レグの息子ファバの事件を調べているのだろうが……。それならば、ゲルエイよりも先に話を聞くべき相手が、たくさんいるはずだ。ゲルエイは、そう思う。

「いやいや。ゲルエイさんのような専門家は、なかなかいませんよ」

「専門家だって?」

「そうです。今あっしが追っている事件は、なにしろ『呪い』ですからね。オカルト関連なら、占い師が詳しいはずでしょう?」

 いつぞやのレグと同じだ。このディウルナも、占いと呪いを、オカルトのたぐいということで同類に扱っているようだ。


「ふん。何を言われたって、あたしが、あんたに協力するわけないだろう」

「いいんですかい? ゲルエイさんの立場からも、コメントしといた方がいいと思いますが……。ほら、被害者でも加害者でもない、専門家寄りの立場ということで」

 ディウルナが被害者とか加害者とか言い出したのは、ゲルエイも少し気になったが……。取材に協力する気はないというスタンスは、変わらなかった。

「とりあえず、今日のところは帰ってくれないかねえ? 今、客が来てるんだよ」

 ゲルエイは、少しだけ体をずらして、家の中の様子をディウルナに見せた。

「あれ、こんな朝っぱらから、若い男を引っ張り込んでたんですかい?」

 とりあえず醜聞と結びつけた言い方になるディウルナを、ゲルエイは「いかにも低俗なニュース屋らしい」と思ってしまう。

「おいおい、もう『朝っぱら』って時間でもないだろう。それにあの子は、そういうんじゃないよ。遠い親類の子供だよ」

 ケンの正体――異世界人であること――は、この世界では秘密だ。以前にピペタも似たような誤魔化し方をしていたが、基本的にケンは『遠縁の子供』として紹介されることになっていた。

「そうですか。まあ、それはそういうことにしておきましょう」

 特にケンに対しては興味を示さず、

「では仕方がない。今日のところは、あっしも諦めて、帰るとしますが……」

 ディウルナは、おとなしく帰ってくれる態度を示した。

 しかし、長屋の前から立ち去りかけたところで、いかにも「言い忘れたことがあった」という顔で振り返る。

「そうそう。今朝あっしが南中央広場まで出向いたのは、ゲルエイさんの取材だけが目的ではありませんでした。むしろ、これの配布の方が主目的でしてね」

 わざとらしく、ディウルナはそれを取り出して、

「ゲルエイさんには、一部サービスです。それでは、また後日!」

 ゲルエイの部屋に投げ入れてから、今度こそ帰っていった。

「ふん。ようやく、いなくなった」

 扉を閉めて、ゲルエイが部屋の奥へ戻ると……。

 ディウルナの投函したものをケンが拾っており、早速、それに目を通していた。

 彼の後ろから、ゲルエイも覗き込む。

「おいおい、これは……」

 それは、ディウルナが発行した大衆紙だった。

 ゲルエイのところに取材に来たのは次回発行分のためであり、すでに第一報は完成して、本日販売されていたらしい。

 その見出しには、次のように書かれていた。


『魔女の呪い? 友人に殺された少年!』

   

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