夏に見る夢

夏になると必ずカブトムシの夢を見る。


目が覚めて、ああまたこの季節かと思う。


田舎で育ったおかげで子どもの頃は山に行けば簡単にカブトムシは捕まえられたし、わざわざ山に入らなくても夜、玄関の外灯に引き寄せられて向こうから飛んできた。


大人になった今でもそんなカブトムシの夢を見るのだから相当に楽しい経験だったのだ。


ただ、ここで申し出ておきたいのが、今はそれほど好きじゃないということだ。追加で説明しておくと、夢に出てくるカブトムシは、決まってその大きさが2~3倍のキャベツほどの体長で現れる。恐ろしく気持ち悪いのである。子どもの頃の「もっと大きいのを捕まえたい」という欲望が未だに反故にされず活きているのだ。


断っておくと、夢の中でそれが夢だと気づくいわゆる〝明晰夢めいせきむ〟はほとんど見ない。ピュアなボクは毎度ヘンテコな設定の夢に欺され、翻弄され、汗と疲労で飛び起きる。目が覚めてようやくその設定の杜撰さに気づくのだ。「・・・でかすぎる」


今年はまだ見ていない。まだ見ていないと思った直後にいつも決まって見るんだけど。恐怖。

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