第38話妹は新しい友達と遊ぶ
私はお兄ちゃんが好き。
兄として好き、でも異性としても好き。
いつからって問われたら、それは分からないけど、お兄ちゃんが中一年の時、私が小6の時には異性として好きだった。
優しいところが好き。具体的には自分の大切な人が傷つけられたら怒るところとか、私に甘いところ。
努力家なところが好き。
最近はネガティブになることが多いけど。
これは私の主観。でも、真実に近いって思ってる。
楽しそうしてるように見えるお兄ちゃんだけど、葛藤してると思う。
恋愛感情も持てない自分が付き合っていいのか、江菜さん達の恋愛する幅を狭くしてるって。
でも、告白の返事に応える為に向き合おうとしてる。
だから、お兄ちゃんはもっと積極的になった方が良いと思う。もし、恋愛感情が芽生えたとしても今のままじゃ駄目だから。
本当に凄い、怖いくらいに。
私はお兄ちゃんが好き。
だから私は、私は………確固たるものにするためにもお兄ちゃんとの恋人生活を楽しみたい。
◇◇◇
「お姉様ー!」
F1《フィールドワン》に戻って来ると僕と鈴を弓月ちゃんと美雨さん達が待っていました。
「本当に大丈夫?」
「はい、七海美雨完全復活です」
「右に同じです」
「私もでーす」
「ふふ……じゃあ行こ」
「「「はい!」」」
そう言って、四人はスポッツの受付の方に歩いて行きます。
「なーちゃん楽しそうですね」
「うん。人見知りな鈴に新しく友達が本当に出来て良かった」
「まあ、親友の座は誰にも譲りませんけど」
闘志を燃やす弓月ちゃん。
鈴の学校とは真逆の面を受け入れてくれて良かった。
「蓮兄〜、きぃ、木更さん何してるの
ー?」
「はいはーい。なーちゃん行くよー。行きましょっか」
「うん」
受付を済ませてエレベーターで屋上に上がり、スポーツエリアに来ました。
「皆、何する?」
エレベーターを降りた直ぐの壁にあるマップを見ながら鈴が皆に訊ねます。
「バッティングしてみたいですね」
迷いながらも美雨さんは目を輝かせ、
「パターゴルフが気になります」
何かを分析するようにジーッとマップを睨んで悠さんは答え、
「迷いますよお姉様ー!!」
比奈さんは今にも暴れまわりそうにそわそわしています。
そこに弓月ちゃんが今でたものをやりに行く事を提案しました。
「蓮兄は何処かある?」
マップを見てみると絶望的に球技系がほとんど、ゴルフとバッティングはわかりませんけど、他にハーフコートでのバスケとサッカー、ストラックアウト。球技の苦手な僕にはやりづらい。となると、唯一雪の練習でまだまともにできるようになったもの。
「テニスかな」
「ふぅん」
鈴は目を細めて怪しむ表情を僕に向けます。
テニスって意見を出した時点で分かってました。でも、辛うじて出来るのそれしかないんだよ、鈴。
だから嫉妬しないで〜。
「じゃあ蓮兄の入れてその三つとりあえずやろっか」
「お姉様?不満でしたら無理にやらなくても」
「え?ああ違うの森川さん、不満じゃなくて……」
「なくて?」
「………そのお昼食べたばかりだから、動いてお腹痛くならないかなって」
「確かに」
なんとか誤魔化せたみたい。お疲れ様、鈴。
「なーちゃん大丈夫。痛くなっても、動けばそのうち消化されて治まる」
「そうだよね」
というと、美雨さんが鈴の手を握ってバッティング所まで引っ張っていきました。それを羨ましそうに悠さんと比奈さんが追っていき、弓月ちゃんは四人を眺めて楽しそうにしながら歩いていきました。
あれ?本当にこれは僕いります?
いや、いるよね。護衛として。ボウリング場だし、監視カメラあるし、大丈夫だとは思うけど、万が一あったら駄目。それにこの中では一番年上だからしっかりしないと。
うん、僕は五人のJCの護衛兼保護者である。
僕は腕時計とスマホの画面のアナログ時計を同時に見る。
「12時47分8秒…誤差無し」
各自…って自分しかいないから省こう。
◇◇◇
「えい」
「ひぃ!」
「……早い!」
と三人とも最初は100キロのボールに当てられなかったですけど、徐々に当てていき、最後は腰のはいったバッティングをするようになりました。
鈴と雪は最初から当てていたことで、七海さん達はそれを見て目がハート、(元々)メロメロでした。
それにしても鈴も弓月ちゃんもバットにバンバン当てて、鈴は低めの打撃、弓月ちゃんはホームランの的に当たりそうな高い打撃を出しています。
「凄いなぁ」
なんて言っていたら、誰かがホームランの的に当てた時のメロディーがなりました。
「凄い、お姉様と同じ女性の人です」
と、比奈さんが声を漏らしている間にまたホームランの的に当てたメロディーが流れました。
一体誰が
「・・・」
江菜さんじゃねぇかぁぁぁぁ!
間違いない。髪を団子に纏めて、サングラスかけてますけど、中々にあの髪艶で美少女は中々いない。
何で対抗心燃やしてるの!?
「先輩どうかしました?」
様子が可笑しいのが顔にでていた様で比奈さんが僕に話し掛けました。
「え、ううんホームラン連発凄いなぁって」
「お願いされた達も凄いですけどホームランを出すあの女の人も凄いですよねぇ」
「何言ってるの?比奈。お姉様だってホームランではないけど凄いことをし始めてるわよ」
悠さんが指摘し、あれを見なさいと指差す。
野球選手の投げる映像とともにピッチングマシーンからボールが放たれ打った鈴の打撃が野球選手の映像の方の柵にヒットを出し続けています。
江菜さんに気づいてこっちも対抗心燃やし始めてるぅぅぅぅ!
ピッチャー返し。僕の回りには普通の人はおらんのかいな。
唯一普通なのは美雨さん達か。
「美雨さん達はそのままでいてね」
よく分からないという表情の上にクエスチョンマークが見えます。
あ、そのままでも鈴を慕いすぎて鼻血出すのは直して欲しい。
それからホームランが来てはピッチャー返し、ホームランが来てはピッチャー返しが繰り返されました。
お陰で僕は打たずにすみました。
納得していいのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます