第37話 嘘の恋人と初デート3 ラーメンはいいよね
カランカラン
扉につけられてる鈴の歓迎を受けて私とお兄ちゃんは徒歩5分の所にあるラーメン屋さんに入った。
中は昼時だから満席に近い状態で、二人だけど奥のテーブル席に案内された。
座る形はお兄ちゃんと向かい合う形になった。
ラーメンって炭水化物食だから中々食べられないけど、こっそり、家でラーメン作って食べるんだよね。
でも、それ以上に運動する分には最高のエネルギー食だよね。
でも、そんなはラーメンの魅力じゃない。
やっぱり、日本では地方によって多種多様のスープがある。何時間も何日も重ねて考えて、手間をかけて作ったスープ。これだよ。
いつか全国ラーメン店巡りしたいなぁ。
もちろん、お兄ちゃんと一緒に。
「鈴、ラーメン何にする?」
お兄ちゃんはメニュー表を開いて私に渡してくれた。
先にメニューを見せてくれる、自然にメニュー表を開いて渡してくれる。
優しいよね。
私的にはポイントが高い。
という訳で、お兄ちゃんを待たせるわけにもいかないから早く決めないと。
「鈴、ゆっくり食べたいの選んで良いからね」
お兄ちゃん………好き。
「じゃあお兄ちゃん一緒に見よ」
私はお兄ちゃんの隣にお邪魔した。
よく見れないと思うから密着して一緒に見る。
流石にこれは七海さん達には見せられない。
隠してきた分、恥ずかしいから。
温かいお兄ちゃん。
「どれにしようかな〜?」
「豚骨か豚骨醤油か」
お兄ちゃんは豚骨かぁ。
私はどうしようかなぁ。せっかく家系に来たしなぁ。ご飯頼みたい。
それなら、麺を硬めに頼も、スープは……豚骨醤油にしよ。それならお兄ちゃんが豚骨ラーメン選んで食べあいっこできるし。
よし、これで行こう。
「お兄ちゃん、私、豚骨醤油にする」
「じゃあ、僕は豚骨チャーシューにしようかな」
絶対旨いやつだよお兄ちゃ〜ん。
「鈴、豚骨醤油、少し貰って良い?」
おねだりお兄ちゃん、萌え。
レアどよ〜!
断るつもりないけど、これじゃあ断れない。
「少しじゃなくて全部でも良いよ」
「それは鈴の分がなくなる」
「えへへ、それは流石に冗談だよ」
「悪い妹には仕返しだ」
と言って、お兄ちゃんは私の頬を両手で掴みむにーっと左右に伸ばしてはむにむにと頬を遊ぶ。
「おにいひゃんもふらえ」
私は逆にむにゅっとお兄ちゃんの顔をプレス。
変な顔で面白い。特にプレスされてつぶらな瞳になってるところが。
思わず私はぷっと笑い吹いた。
すると、釣られてお兄ちゃんも笑い吹いて、お互いに変顔のまま笑い合った。
この勢いで私は今日思ってた事を聞いてみた。
「お兄ちゃん、楽しい?」
「楽しいよ。つまらない顔してた?」
「ボウリングが上手くいかなくて悔しい顔はしてたけど、楽しそうだったよ」
お兄ちゃんは笑った。プレスされたままの顔に私はすっかり馴染んでいて、不意の変笑顔に大爆笑しちゃった。
そして、私も変顔だったからそれでお兄ちゃんも大爆笑。
お互いに手を離して腹を抱えた。
その後、私とお兄ちゃんはスタッフさんを呼んで豚骨チャーシューと豚骨醤油を注文した。
「今度は七海さん達と来たいなぁ」
「そっか、良かった。鈴人見知りだから心配だったけど、そう思える友達が出来て良かった」
「三人には言えないけどね」
多分だけど、お姉様として私を慕ってる?から、「畏れ多いです」とか言われそう。
だからここの内に留めておこう。
お兄ちゃんも予想がついたみたいで、「かもね」と答えた。
私には友達といえる人はきーちゃん、木更弓月だけ。だから、心を開けると思える友達が増えたのは不思議と嬉しい。
全ては怖いからまだ、言えないけどね。
でも、いつか、いつか言えたら良いなぁ。
「お待たせしました豚骨チャーシューと豚骨醤油とライス小です」
テーブルに置かれたお兄ちゃん豚骨チャーシューに私は驚いた。
チャーシュー多っ!て
多分12枚くらいあると思う。麺が隠れてる。
私のは海苔三枚、チャーシュー二枚、煮卵半分、メンマ7枚と一般的なラーメン。
「「いただきます」」
私はスープを必要な量だけライスの湾に移して、それから海苔、チャーシュー、メンマ二枚、煮卵を乗せて、ミニラーメンライスを作った。
レンゲでご飯と一緒に豚骨醤油スープを食べた。
「ん〜〜!」
美味しい。こてっとしてるけどくどくないし、醤油でさっぱりしてる。
こてとあっさりだからこっさり?
なんか聞いたことがあるような。
それからミニラーメンライスを食べてから、ラーメンの方に手をつけた。固めに頼んだから丁度良い硬さになってる。
「お兄ちゃん交換」
「はい」
私は豚骨醤油とお兄ちゃんの豚骨チャーシューを交換した。
ここの豚骨のこってり感本当にくどくないし、堪らないかも。
お兄ちゃんも豚骨醤油が美味しいかったみたいで「もう一口」とお願いされた。
私も一口も貰ってから豚骨チャーシューを返した。
「お兄ちゃんありがとう」
「こっちもありがとう」
それから私とお兄ちゃんは何度か交換しながらラーメンを食べて、きれいに完食した。
「ありがとうございました」
カランカラン
「お兄ちゃんご馳走様でした」
ラーメンはやっぱり良いよねぇ。
「鈴もラーメン選んでくれてありがとう」
「私は食べたかっただけだから」
私はお兄ちゃんのお礼に少し恥ずかしくてもじもじしながら言った。
「でも、美味しいかったから」
「…うん」
〜〜〜♪
スマホ画面を見るときーちゃんからのメッセ。――――
《きーちゃん》美雨ちゃん達復活!!
《鈴奈》良かった。お昼まだだよね食べてきたら?
《きーちゃん》お昼ならボウリング中に四人で食べたから大丈夫だよ。
逃がす気が更々ない感じだ。
《鈴奈》じゃあそっち戻ったらスポッツ行くよ
《きーちゃん》了解。待ってるよぉ
デートは一旦お開きだけど、美雨ちゃん達と遊ぶの楽しみ。
「お兄ちゃん七海さんたち復活だって」
「じゃあ行こ。ゆっくり」
「うん」
ラーメンが苦しい。……………お兄ちゃんも、私みたいに友達が出来たように恋愛できるようになるよね。
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