第1話 依頼

 僕は春咲蓮地はるさきれんじ。何処にでもいる普通の中学生です。少し違うとしたら。


 ブーブー


すいません、誰かからメッセが。

 僕はスマホ画面にある無料コミュアプリCOMINEを開く。


《MC》春咲、本当に大丈夫なんだよな。

  不安スタンプ


《SL》えっ?まだ告白してないの?今タイミングを逃したらいつになるかわからないよ


《MC》だってさぁ


《SL》大丈夫だよ!今日は文化祭最終日来校した人含めて最後のイベントで渡り廊下にはほとんどこない。これは毎年の文化祭で判明してる。

 ドヤ顔スタンプ


《MC》本当か!(ビックリ)


《SL》うむ、我を信じよ。タイミングも心理的にも言っているし

 場所もオーケー。というか好きな子待たせたら駄目だよ(グッ)。


《MC》おう!じゃあ行ってくる。


《SL》頑張れスタンプ――――


 さて、僕はを楽しみながら、なるべく誰も校内に入らないように見張っておこう。


 今日は僕の通っている鈴丘中学校の文化祭が行われているんです。


 そして、、僕はこれが最後。来年3月には卒業します。といってもこの鈴丘中学は少し変わっていて高校を一貫してあるわけではないのだけど、ここの理事長が別の高校を受け持っていて入学希望者は試験を受けて合格すれば後はエレベーター方式のような形で進学できるといったものなんです。変わってる。でも合格しないと意味無いですけど。


 今、運動場では文化祭の締めイベントによる学生、教師、自由参加の音楽ライブを多くの人がステージに集まり楽しんでます。こういうのはお昼くらいにすると思うのだけど。

 夜の方が盛り上がるとに聞きました。


 そして、その裏で僕が手助けをしている、訂正、手助けした男子学生が渡り廊下で告白していることだろう。

 大体察しがついたと思います。

 そう、僕は同級生から「好きな女の子と付き合いたい」という依頼の下、色々サポートしていたのです。


 ブーブー


 終わったかな?


《MC》春咲!


《SL》どうだった?


 ………

 返信がない駄目だったのかな?

 駄目だったの?



《MC》いや、ありがとう。上手くいったよ!

 喜びスタンプ


《SL》おめでとう(ニコッ)僕も嬉しくなるよ

 祝いスタンプ


《MC》そう言ってくれると有り難いよ


《SL》彼女大事にしなよ。すぐに手を出そうとしないこと。


《MC》分かってるってお前にも助けてもらったのに


《SL》なら、よろしい。あっ○○君。早く彼女さんと運動場来なよ。まだイベント始まったところだから。


《MC》そうだな。そっち行ったら依頼時は口答だったからな今度ちゃんと紹介するぜ


《SL》待ってる。――――



 良かった。よっしゃああああああ。よく頑張った。おめでとう


 ブー、ブー

 あっもう一人の幸せ者からです。


《WC》あの春咲君今日はありがとうございました。


《SL》○○さん良かったね。

 ○○君と付き合うことが出来て。


《WC》いえ。あの時、


《SL》そんなことないと思う。僕はただ裏でサポートしただけだから。


《WC》だからです。私引っ込み思案だから一人じゃ勇気も出せずに何も出来なかったよ。


《SL》僕に『○○君に告白したいです』って依頼してきたこと事態勇気が既にあると思うよ。

 あと、今やってる文化祭締めのイベントに


《WC》はい、ありがとうございます。後その事なんですけど、さっき彼から誘われました。後で春咲君のところに向かいます。


《SL》彼もやるね。じゃあ待ってるよ。もしかしたらその時に彼から僕に○○さん紹介するかもね


《WC》き、期待します(テレ)


 そういえば。春咲君はお付き合いはされてるんですか?


《SL》してないよ、好きな人いないし。それに、僕は


《WC》そうなんですね。ではまた後で――


 そう、実は二人は両思いだったのです。

 え?じゃあ何でそんな回りくどいことしたのって?それは、お互いがSとNではなくSとS

 NとNという関係、好きだけどあまりに互いを知らなすぎたんですよ。


 二人が依頼をしてきた時期は同じで去年の夏。最初に依頼をしてきたのはMC君だった。


 ※MCはMen´s client《男子依頼人》、WCはWoman´s client《女子依頼人》の事で本名ではありません 春咲蓮地より


 依頼方法はベタな感じだけど学校なら効率的。

 まず、靴箱に依頼の紙を入れておくこと。

 そして依頼が完了した場合、失敗した場合でも僕が助力したことは伏せておくこと。

 それを理解した上で依頼を受けるということ。

 これを朝なら当日に放課後なら後日伝えます。


 MC君の内容は

『WCさんが好きなんだけど、どうすればいいかわからないから手伝って欲しい』それを僕は次の日、MC君のクラスに行き友達感を出して教室から連れ出して依頼を了承した。依頼されたからにはその相手に近づく必要がある。どうするか考えてたら、WCさんが依頼に来た。

 まずいWCさんには好きな人がいると思いながら内容を読むと『MC君に告白したいです』と短い内容だったけど二人が両思いだと判明しました。

 これは都合が良い。そう思いました。

 なにせ、WCさんに近づく理由も出来て一石二鳥だったからです。

 両思いで二人同時に依頼のパターンは初めてでした。依頼は様々で片思いの男子か女子というのもあり、友達になりたいから付き合いたいという依頼もありました。

 他には男子が男子と女子が女子と同性で付き合いたいなどの依頼もありました。

 勿論受けました。今の時代、いえ昔も恋に性別関係無しです。


 話がそれましたね。

 まず僕は、MC君とWCさんの仲介役になって二人の友達も誘ったりして遊び出掛けたりとして徐々に二人でデートするように色々計らった。実は二人の友達も了承して手伝ってくれたりしました。

 なので、今日はもうすぐ二人が来るでしょうからその後にでもお礼を言います。


 暫くして、MC君とWCさんが来てがMC君が彼氏として僕に紹介しました。

WCさんは嬉しそうな顔をしていました。

 二人は僕の依頼を手伝ってくれた二人の友達にも報告に行きました。そのあと、皆にもお礼を言いました。

 依頼に関わったので、この事は伏せていただくことにも了承してもらって。


 何故、僕がここまでして伏せるのか?

 今回は両思いでしたから問題ないものの、片思いの相手の依頼で近づいたなんてそんなの知ったら好きになったその相手は人によれど浮かばれませんからね。






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