第9話
「あのー。」
「パンはもうちょっと固めの方が良かろう。」
「うーん、小麦まだ手に入らないから。自称神チョイスのパンだから仕方ないよ。小麦手に入ったらうどんだよね。」
「ボクは肉~。もう少し量が食べたい。プルプル」
「ちょっと待ってて焦がしたマルマルを投入して肉と一緒に混ぜるから。」
「にーく、にーく。プルプル」
「わしゃこの甘いのが良い。キャロもこんなに甘くなるんじゃな。」
「それは、後で…添え物に。ハーブでソース作って…
、」
「あの~。」
「「「何?」」」
食欲の塊になった三人にギロリとにらまれる妖精。
「後でいいよね…。焦げるし。」
ロールプレイングゲームの某アトリエシリーズで何度も民からの人気でおおこけしてソフトを投げ出したハジメはこの世界でもこけそうである。
そうこうしているうちにウサギ肉ではあるがパティが焼き上がり、食パンの上に野菜を載せその上にバジルソースもどきをかけ、食パンで挟む。
「できたあ。ケチャップじゃないのは不満だけど」
「食っても良いか?」
「食べていい?プルプル」
もう、待ちきれそうになかった二匹がすり寄ってくるので、急いで皿に載せる。
「じゃあ、ウサギさんやらの命に感謝して、いただきます。」
「「いただきます。」」
肉派のメイもハンバーグのミンチに入れるマルマルに対して初めは嫌がっていたが、一口入れた瞬間宗旨がえした。
焦がし玉ねぎは最強なのだ。
シュエンも何気に異世界料理にはまりつつある。
食事の前に食パンで腹を満たしてもらったことがはじまりである。
作った料理よりも、クエスト報酬のパンに負けたと思ったハジメは前にもまして料理に手間を惜しまなくなったのは言うまでもない。
「これ美味しいね。」
肉汁付けた羽つけた妖精が言う。
「て、言うか誰?入れないはずだよね。ここ。」
「妖精だよ。プルプル」
「妖精じゃな。」
「え!!妖精?!」
「「「今さら?!」」」
まだ入って間もない妖精まで揃って突っ込む。
「さっき光ってたの君かあ。それよりどうやって入ったのさ。」
そうハジメが言うと、
「へっ、なにかあった?人間居ないし。えらい穏やかな土地だなあとは思ったけど。」
と、何事もなかったように話す妖精。
「なに~!!」「なんじゃと!!」「何で!!プルプル」
妖精の一言で騒然と化す。
「え、出られないの?君達。どこから?てか、僕最初見たとき驚かなかったよね。驚くのそっち?」
「いや、あれ虫かなあと…俺らだけじゃなく魔物も動物も出た形跡ないし…」
消沈するハジメに対して
「虫とは失礼だなぁ。じゃあ、ここって妖精だけが出入りできるんだ。」
と、喜び出す妖精。
「自慢?なにそれおいしいの?」
と皮肉るものの妖精はどこ吹く風である。
「だって、1番ここ妖精にとっては安全じゃない?つかまえられることもないし。」
「…そうかもな。てか捕まるのかよ!!」
「そうなんだよ。人間がニタニタしながら捕まえてくんだよ。キモいし嫌でしょ!で、さぁ」
「確かに、ニタニタしながら手が出てきたら俺もキモいと思うけど、で、なんだよ。」
「仲間つれてきていい?」
ハジメはフリーズした。
「今、なんて?」
「仲間つれてきていい?」
「はあ?!」
驚いていたハジメだがいつの間にか会話に飽きて抜け出していたメイが帰って来た。
「ただいま!!プルプル。」
「なんか、すっげえ甘い臭いすんだけど。」
「これのせいかなあ?プルプル」
とよくみると、潰れた蜂の巣が目の前に置かれている。
「え、、蜂の巣?!」
ブーン、ブーン、ブーン、周囲からものすごい外から羽音がする。
「まさか、蜂は…」
恐る恐るハジメが聞くと
「ついてきちゃった。プルプル」
メイはあっけらかんと言いはなった。
「ざけんじゃねー!!」
この後、蜂を家に入れないようにハジメが涙目で煙で家中燻すはめになったのは言うまでもない。
「ねぇ、僕割りと重要なこと言ったよね…蜂で放置って」
呆然とする妖精に対して、
「そのうち慣れるじゃろ。」
とシュエンが慰めの言葉をかけた。
こうして、今日も平和?に過ごすハジメなのでした。
「メイ、蜂はつれてくんな!!」
「せっかくとってきたんだから、言ってた蜂蜜作ってよ。プルプル」
「ふざけるな!!」
という言い争いもあったとかなかったとか。
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