第85話 拓海君は求婚します
俺の目の前に銀髪で狐のケモミミ幼女のマスター様。白髪で猫のケモミミ、スーパー美少女イムカがいる。
ふむふむ。現実的にケモミミなんて実在しない。二人が言うように俺は今、夢の中にいる。なんて素晴らしい夢なんだ。
俺はベッドから降りてケモミミ幼女の前で片膝をついた。
「拓海。どうしたのじゃ?」
幼女のマスター様は不思議そうに俺を見ている。
「マスター様。俺の嫁になって下さい」
幼女の大きな目が驚きからか更に大きくなった。
「な、なな、何を言っているのじゃ。——ぬぉ! わっ、
俺は幼女を抱きしめた。何故だかは分からないがマスター様が愛おしい。
「あらあら。マスター様モテモテですね。イムカは羨ましいです」
「うっ、羨ましい? イムカ、お主には人族の隠された能力の影響を受けぬように、無効化を付与しているのじゃ! ちゃんと発動しているのじゃろうな!」
「はい。無効化は常時発動しています。拓海様の異種族にモテる《極み》の影響は受けていませんよ」
「なら、何故羨ましいのじゃ!」
「それは拓海様が素敵な方だからです。隠し能力の影響を受けなくとも好きになりますよ」
マスター様とイムカが話をしている。俺は幼女マスター様が大好きだ。抱きしめて離したくない。でも何故だ? 自分はロリコンではなかったはずだけど? 不思議だ。夢だからか?
「マスター様。拓海様は本来なら国民的美少年になれたはずです。千年に一人の逸材と言われ世間を騒がせたでしょう」
「ぬっ、それは否定は出来ぬのじゃ。確かに
「はい。拓海様の外見だけでは無く、内面も素敵なので好きになりました」
「うぬぬ。イムカ、お主には対象者に触れぬとも読心術を使える様にしていたのじゃが、まさか拓海を好きになとは……
俺が抱きしめている幼女マスター様と隣で立っているスーパー美少女イムカが訳の分からない話をしている。
俺は自分の知らない事も夢には出てくるのは不思議だねぇ。と二人の話を聞きながら思っていた。だけど深くは考えない。何故なら夢から覚めたくないからね。
「拓海様」
俺の名を言いながらイムカは片膝をついた。幼女マスター様を抱きしめながら彼女に目を合わせた。
幼女を抱きしめイムカを見ている自分はかなりの変態だなと思ってしまった。
「イムカ、何?」
「イムカの事も拓海様のお嫁さんにして下さい」
「イムカ。お主はイキナリ何を——ぬぉ!」
俺は幼女のマスター様をベッドに放り投げた。
「はい。喜んで!」
俺は即答してスーパー美少女イムカをギュッと抱きしめた。
「あらあら。夢の中なので拓海様の心の
俺は驚き抱きしめを緩めてイムカを見た。
「ごっ、ごめん。嬉しくてつい……」
「ぐぬぬ。
背後のベッドにいる幼女のマスター様の声が聞こえる。
「とぉー! 喰らえなのじゃ! 必殺! コンキィィクッ!」
「ぐはっ!」
俺の後頭部に衝撃が走った。その勢いでイムカの唇と俺の唇が重なってしまった。俺は驚きイムカを抱きしめるのをやめて離れた。
「拓海様は大胆で強引な方なのですね」
「いや! 事故だから! ごめん!」
「謝る必要は無いですよ。イムカは拓海様の嫁ですから。それに……強引な拓海様は素敵です」
イムカの顔が赤い。自惚れでも勘違いでも良い。彼女はマジで俺に惚れている! 最高だ!
「まったく。拓海は困った奴なのじゃ。……さて、どうするかのぉ」
「マスター様。それはイムカにお任せ下さい」
「ぬっ。
「はい。マスター様にはイムカの読心術は通用しませんが、お悩みしている事は分かります」
幼女のマスター様とスーパー美少女イムカ、二人だけで話が成立している。俺には二人の会話がさっぱり分からない。
それにしてもこの夢……いつ覚めるんだ? 本当に夢の中か? でも頭はふわふわするし、目の焦点もイマイチ定まらない。視界の端の方はボヤけているし……
うん。これは夢だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます