第30話 ルナは親公認のお嫁さん?
父さんと母さんがルナに俺のお嫁さんにならないかと勧め、俺は困惑していた。
「父さん、母さん、何故ルナを俺のお嫁さんになるように勧めてるんだよ」
「ルナちゃんはこの後、大事な話をするんでしょ? それが終わるとサヨナラしないといけないんでしょ。 それは寂しいじゃないの」
「だからってなんで、俺の嫁になるんだよ」
「あの……拓海君のお嫁さんは……私なんかで……良いんですか……」
ルナの顔が赤い。それに嬉しそうだ。
「もちろん良いわよ。むしろルナちゃん以外考えられない。とっても可愛いし、ルナちゃんが女神でなくても、お嫁さんに来てもらいたい。ね、パパ」
「そうだな。私も是非、ルナちゃんに拓海のお嫁さんになってもらいたいな」
「そうですか……私……拓海君のお嫁さんに……なります。お父様、お母様、よろしくお願いします……それに私もそのつもりで人間界に来ましたから」
ルナは父さん、母さんに頭を下げた。
「本当に。 やったぁ! よろしくね、ルナちゃん」
そう言って母さんがルナに抱きついた。
「いやぁ、良かった。ところでルナちゃん、そのつもりとは拓海のお嫁さんになる為に日本に来たのかい? 拓海もやるなぁ」
「父さん、ちがう、ちがう、ちっがーう。 ルナが俺を追いかけて来たんだよ。俺はルナをお嫁さんにするつもりは無いんだよ」
「なんだ? どういう事だ。 ルナちゃん、拓海の言っている事は本当なのか」
俺がお嫁さんにしないと言ったら、父さんはルナに聞いた。母さんはルナを横から抱きしめている。
「はっ、はい。拓海君を生き返す時に、初めて拓海君に会って、私が好きになったんです」
「たっくんモテモテ!」
「そっ、それで拓海君にお嫁さんにしてもらう為に、追いかけて人間界に来たんです」
「ふむ、なるほど。母さん、ルナちゃんから離れなさい。ルナちゃん辛そうだぞ」
「はーい」
母さんはルナを抱きしめるのをやめた。
「ルナちゃん、もう少し詳しく教えてくれないか」
「はい。時間停止の部屋という死んだ人を生き返らせる時に使う場所があって、そこで初めて拓海君に会って、拓海君を生き返らせる間に、私が拓海君を好きになって、拓海君に好きと告白しました」
「なるほどそれで?」
「告白はしましたが、私の想いは受け入れられないと断られました」
「なに!」
父さんは俺の方を向いた。父さんに睨まれたが、すぐにルナの方を見た。
「拓海はなぜ断ったんだい?」
「拓海君は少し会っただけでは、私の事はよく分からないと。私の事は好きでも嫌いでも無いと言われました。そして好きな人もいると……」
ルナの話を聞いて父さんはまた、俺の方を向いた。
「拓海、お前は死んで詫びろ!」
「——えっ。父さん俺が死んでいたら、胸が苦しくなると言っていたよね。悲しんでくれたよね。 あれは何だったの!」
俺の言葉を無視して父さんはまたルナの方を向いた。
「ルナちゃんすまんな。私の息子がバカで。ルナちゃんみたいな可愛い子に悲しい思いをさせて」
「お父様、私は大丈夫です」
「ルナちゃんは、そう言われて、拓海になんと言ったのかい?」
俺が見ても分かるくらいに、ルナは恥ずかしそうにしている。
「それで私は、人間界に住んで、拓海君に私の事を見てもらって、拓海君に好きになって貰えるようにがんばるって伝えました」
「ルナちゃん、かわいい」
「そして拓海君の好きな人以上に私の事を好きになってもらって、拓海君のお嫁さんになると言いました」
俺は父さんの後ろのベッドに座っているので顔は見えない。母さんはルナの真横でルナと父さんを見ていた。
「ルナちゃんは拓海に好きな人がいても、その人以上に好きになってもらう為に頑張る……か。健気だ、ルナちゃんは健気すぎる。なんていい子なんだ。 今すぐに拓海の嫁になりなさい」
「とっ、父さん。さっきルナから聞いただろ。俺はルナの事は好きでも嫌いでもないの。 それに好きな人がいるんだよ!」
俺はルナの事は好きだが、一番好きかと聞かれたら悩むと思う。
だからルナをお嫁さんにするのはまだ早い。ここは好きでも嫌いでもないと言った方が賢明だろうな。
それに結婚出来るのは十八歳からなんだよね。父さんも母さんも分かっているとは思うけどね。
父さんは俺の方を振り向いた。
「好きとか嫌いとか、好きな人がいるとかは関係ない。拓海はルナちゃんをお嫁さんに貰うんだ」
「そんな無茶苦茶な」
「そうですよ、お父様。拓海君の言う通りですよ。それに、お互い好きな気持ちが無いとダメだと思いますよ」
ルナに指摘された父さんは、ルナの方を向いた。
「そうだな……私が間違っていたよ。ルナちゃん、すまない。拓海から好きになって貰えるように、頑張りなさい。私達も協力するから」
「ルナちゃん頑張ってね」
「はい。がんばります」
そして母さんはまたルナに抱きついた。
「それにしても、拓海の好きな人って誰だ」
父さんは俺の顔を見て、誰を好きなのか考えているようだった。
「たっくんの好きな人はソラちゃんじゃないかな。 可愛いしね」
「そうか、ソラ君か。 これは強敵だな。ラスボス級だぞ」
「どうしてソラなんだよ。 あいつは俺の親友なんだぞ。 男なんだぞ」
どうしてここでソラの名前が出るんだよ。 母さんは、俺がソラの事を好きだと思っていたのかよ。 父さんも納得するの早すぎだぞ。
ソラが女の子だったら、俺はソラの事は好きになっていたと思うけど……アイツは俺より立派なアレが付いているんだぞ。
俺はBLの事は知っている。俺はBLは全然良いと思っているが、俺は男の子より女の子の方が大好きなんだよ。
ヤバイぞ。 父さん母さんは、俺とソラがBLだと思ったかもしれない。
これは断固、否定しないといけない——
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