雪姫 エンパイア・オブ・ディセプション

久遠寺 誠悟

Prologue

少女は泣いていた 膝を抱えて


世界は涙の滴で滲み


哀しみが溢れて零れ落ちた


唯、凍てつくような闇だけがそこに在る世界


少女の身体をヴェールのような優しさで狂おしく包み 


コールタールの如くねっとりとどこまでも纏わりつく


神は何故私を創ったのか


声が聴こえた


世界からの声が


そして少女は立ち上がり


声に身を委ねた


儚げに舞い踊る雪の結晶は


音も無く静かに夜の闇に溶けて行った

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