28 縮まる時刻 終わり無き秒読み

母に顔を見せに行き 症状を詳しく訊くと 数週間前 目を覚ましプレイスタート

すると背中に痛みダメージを感じ 筋肉痛か 夏疲労バテたぐい

そのうち治癒するだろうと考え 様子を観つつ数日放っておいた

が 経験したコトない痛みと部位を怪しんで 念の為 近所の町医者ジョブに

診せると 症状と痛みの箇所を診て即座に

「もしかしたら膵臓ガン系ダメージ喰らってんのかも」と真顔で述べ

大治療院での精密検査を勧められた


市内での検査入院も何個いくつか提案されたが

母が選んだのは4エリア離れた秦野ゾーンに在る大治療院だった

選んだ理由は3つ

 ①先の町医者と繋がりの深い癌専門プリースト医が在籍いる

 ②近場ヨコハマだと見舞客プレイヤーやNPCが大勢来そうで気を遣う

 ③自然が多いエリアで静かに集中して治療に専念したい


そンで偶然たまたま伯母が秦野の山砦に住んでたンで

伯母宅ソコを宿屋がわりに一泊し 明日から検査入院する手筈になった と


母が急いでまとめた重装備や荷物アイテムを 私は持ち上げ

一緒に電車で向かう 母は何を考え 流れる風景を眺めているのだろう

お互い不自然にわざとらしくならないよう 無理を察知けどられないよう

装った笑顔でガンと無関係の雑談を捻り 絞り出す

「途中まででイイ」と気遣いを言う母

心細かったから付添を頼んでメールして来たのに......無理してる

伯母の家まで一緒に行くつもりだったし そう言いかけたが

変にソコだけ急に強引になると不自然だし 癌を確定しそうで怖い


重い荷物を 独り持ち ターミナル駅の雑踏に重く消えゆく背中を見送った

もしかしたら もう......コレが お互い最期の姿 最期の映像場面

なるかもしれない


翌朝 目を覚ますと 天窓から明るく差し込んでいる晄粒子ひかりの束が視える

あっ悪い夢だったか......との願いはスグに空廻りしながら 現実がジワリと浮かび

ズシリと重くなる 症例......治療法......生存率......

無理矢理 気力を勃ちアガらせ 這い出て全球型國際互換電網ネット瀏覧しらべる

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