110話.予期せぬ出来事
悪魔の襲撃が悪魔王の
クロムからの指示で聖セイクリッド神国へと侵攻を続けていたゴランたちは、それまでの順調な進軍が嘘であったかのようなほどの
ゴランたちの進軍はここまでずっと順調であった。
そして、わずかな守備隊しか残っていないのだから当然の結果とも言えた。
しかし聖セイクリッド神国の
「ゴランよ、緊急事態だ……」
「ん? ギンかどうした?
今はオオカミ部隊と共に最前線にいるはずではなかったか?」
「我以外全滅した……」
「な、なんじゃと!!!」
ギンの予想だにもしていなかった内容の報告にゴランは困惑した。
様々な種類のオオカミがギンの指揮のもとに統率されているのがオオカミ部隊である。
それはわずかに残っている守備隊程度の戦力では到底太刀打ちできないくらいの戦力である。
それが全滅させられた上、よく見るとギンも体中を傷を
「我らの前に二人の男が立ちふさがり……
一瞬の間にオオカミたちは燃え上がり、バラバラにされた……」
ギンたちの前に立ちふさがった男たちは、それぞれ<
ゴランにはどちらも聞き覚えのある二つ名であった。
「ついに出てきたわけか、聖セイクリッド神国の
<剣聖>と<魔導王>、どちらもこの世界での有名人である。
<剣聖>は自分の体ほどの大きさの大剣を軽々と片手で振り回し、どこの国にも所属していない最強の剣士であるということ、人族であること、それ以外は全てが謎の男である。
<魔導王>は精霊王との契約を成し遂げた至高のハイエルフであり、現在の聖セイクリッド神国の聖王でもある。
「剣聖と少しだけ対峙したのだが……
我らとは次元が違いすぎる存在であった……、退却を
ゴランは退却することを即決した。
プライドの高いギンがここまで言っていること。
噂通りであれば<剣聖>と<魔導王>どちらもゴランたちの手には余る存在であること。
そしてその二人がなぜか手を組んでいること。
退却する理由はいくらでも浮かぶ状況なので判断するのは容易ではあったが、このあとのことを考えるとゴランは胃が痛くなる思いであった。
「…… このことをクロム殿に報告か……
情けない限りじゃ……」
ゴランにとって主からの依頼を達成することもできないまま退却したという報告をしなければならないということが屈辱的なことなのである。
しかしワガママを通してこれ以上の被害を出すわけにはいかなかった、軍を任された大将としては。
そして、全軍に退却指示を飛ばしたゴランは、ふと疑問に思ったことを呟いた。
「
人族を
何故この2人が手を結んでいるのじゃ? 」
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