67話.反省会
かなりの苦戦をすることとなったカイリとの戦闘(実際には召喚された死霊兵が相手ではあったが)に無事勝利を収めたクロムではあったが、仲間たちの助力のおかげであることを重々自覚しており、皆に感謝の気持ちを伝えていた。
「みんな、ありがとな。
みんながいなければ俺は確実に負けていたよ……」
クロムは皆に礼を伝えると同時に自分の力不足、特に経験不足を今まで以上に痛感していたのであった。
「いい加減さ、俺の力不足や経験不足が目に余るようになってきたな……」
「兄貴……
ここにいるやつってほぼすべて兄貴に負けてるってこと忘れてないか?」
「ワシも真正面からの力比べでへし折られたわけじゃが……
戦いの上手さみたいなものは確かにあまり感じないな」
「以前伝えたように主の魔術の才能は異常な高さですけど、活かしきれてはいませんね」
「ゴランさん、ビネガさん……
みんな容赦ないわね……」
遠慮なくクロムへのダメ出しを行うみんなを苦笑しながら見ていたアキナは、助け舟も兼ねて話題を変えることとした。
「その辺はこれからの課題とすることにしてさ、とりあえずこれからどうするかの話をしない??
クロム、何か考えているプランはあるの?」
「ん? 特にはないな。
とりあえず王都が解放された連絡をダンには入れようと思っている…… くらいかな」
「兄貴を切り捨てたやつらにわざわざ伝えるのか?
このままここに兄貴の国を作るのも俺はアリだと思うぞ。
俺たちって多種族の集団だから自分たちの居場所は自分たちで作るしかない気がするしさ」
そういってみんなの反応を伺うカルロ。
そしてカルロの案に対して特に反対する意見は出なかった。
すると、みんなの反応を静かに見ていたクロムがゆっくりと口を開いた。
「確かに俺たちが自分らしく楽しく生活するための場所は必要だとは思う。
でもそれはこのルーム内の拠点で間に合っているような気はするんだよ。
さすがに生活の拠点とする街や国をどこにするかは決める必要はあるけどね。
でも国を作るとかは…… いつか必要だと思うことがあれば作るよ」
クロムが自分の想いを素直に告げると、それを静かに聞き入る仲間たち。
その関係性にほっこりとして、思わず笑顔になったアキナが話を始めた。
国を作るかどうかは一旦保留とし、ダンへの報告は自分とクロムで行きたいということを。
そしてその後でルインに寄りたいということであった。
「報告に行くのであればクロムとアキナ嬢さんが行くのが一番ではあると思うが、その後ルインに寄るのはなぜじゃ?」
「確かに今ルインに寄るのはリスクが高いと思うけど、アキナが言い出すってことは何か理由があるんだろ?」
ゴランとクロムは素朴な疑問をアキナに問いかけたのである。
そして、それに対するアキナの返答はみんなの想定外の内容であり、その場を一気に和ませる結果となるのであった。
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