1話.目覚めたらそこは……
そんなカオスの言葉を薄れゆく意識の中で聞いていたクロムは、眩しさと共に意識を取り戻した。
「まぶしい……
すげーいい天気だけど、ここは…… 草原??」
目を覚ました場所は草原でした。
見渡す限りの大草原……
「カオス…… だったか?
あいつ説明なしでいきなりこんな場所に放置とかドSなのか?」
クロムがそんな悪態をついていると、頭の中に見知らぬ声が鳴り響き始めるのであった。
『カオス様の悪口は聞き捨てならないなぁ』
「!!!!
なんだこれ!!!!???」
突然の出来事にクロムが戸惑っていると、その謎の声はクロムに自己紹介を始めたのである。
『僕の名前はナビだよ。
カオス様の眷属で、カオス様が君のサポートのために君の脳内に埋め込んだ存在だよ。
とりあえず、君の名前を教えて欲しいな』
「脳内に埋め込んだ……
ねぇ…… 」
なんだか酷く物騒な単語を聞いたような気をしたクロムであったが、そのことをスルーしてナビに対して名乗ることにした。
「俺の名は…… クロム
ここがカオスの言ってた転生先の世界…… ってことでいいのか?」
『うん、そうだよクロム。
そして、この世界の名前はアスティルだよ。
場所としては、その世界の中央部に存在するロンダルディア大陸になるね。
まぁ、転生初心者のクロムに僕が色々レクチャーしてあげるよ♪』
転生にベテランとかいるのか? という疑問を口に出すことを我慢しつつ、素直にナビのレクチャーを受けることにしたクロムであった。
殊勝な態度のクロムに関心したナビは、やや饒舌な口調で語り始めた。
この世界の地名や簡単なルールなどを……
クロムはその中で、ある一つのことに強烈な印象を受けることになったのである。
転生者というものには転生特典として、対象の世界のあらゆる言語の読み書きが可能になるように脳に全言語を強制インストールされるということにだ。
またまた登場した物騒な言葉のために印象に残った内容ではあったが、そのおかげで現地人と問題なくコミュニケーションがとれるようになるという説明を受けたクロムは納得するしかなかったのであった。
『あと、ステータスオープンって言ってみて♪』
「ん? まぁいいけど……
すてーたすおーぷん?」
すると、クロムの前に半透明の板状のものが表示された。
所謂元の世界のゲームでよく出てくるあれと似たようなものだ。
『それは、ステータスボードと呼ばれるものでこの世界の住人なら誰でも自分のものを表示させることができるの。
そこには各種ステータスや技能なんか乗ってて、本人の同意があれば人に見せたりすることもできるよ。
ただし、自分の手の内が全部バレるってことだから注意はしてね!』
クロムは目の前に出現したステータスボードの内容を確認してみることにした。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
名前 : くろむ
種族 : 人間
職業 : 無職
レベル: 1
HP : 12
MP : 100
筋力 : 4
耐久 : 4
敏捷 : 8
魔力 : 18
幸運 : 4
技能
・魔術理解ー①
・魔術適性ー①
・魔眼ー①
加護
・空間神の加護
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「なんというか…… MPだけ異常じゃね?」
『選択した技能の影響が濃くでたステータスと言えるね。
技能の詳細はステータスボードの文字に触れれば表示されるし、使い込めばレベルアップもするよ』
「技能の後ろについてるのがレベルってことか」
『うんうん、ちなみにレベルの最大値は10だから頑張って育てちゃってね♪』
陽気な声を出しているナビを無視して、クロムは早速ステータスボードに触れてみることにした。
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魔術理解
魔術の原理に対しての理解を深め、原理や現象の改変を行える(ただし、Lvによって改変できる内容が変わる)
魔術適性
肉体の構造そのものを魔術行使に最適化する(Lvにより最適化の度合は変化し、魔術の威力向上やMPの自然回復量に効果を発揮する)
魔眼
各種効力を持つ魔眼を使える(レベルアップごとに1つずつ開眼する)
Lv1 :強奪眼(この眼で見た後に殺害した相手のステータスもしくは<技能>の一部を自分のものとする)
空間神の加護
空間術を扱うことができる(扱える空間術は本人のレベルなどにより変化)
【現在扱える空間術】
・ストレージ
物質を無制限に格納できる空間を作り出せる。(生物は格納不可)
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
クロムはチートすぎる内容に若干引くことになったが、すぐに気を取り直して
前向きに捉えるのであった。
「ま、とりあえず生き抜くための強さを得やすいってことで納得しとこう♪」
そんなことをノリで言うと、ナビはやや呆れながら
『受け入れるのが早すぎるというか、能天気というか……』
クロムはお前とカオスには言われたくないと思いつつ、今後の方針に想いを巡らせることにした。
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