第3話希望
ユーカリに出会って3日が経った。
それまでは何も変わらず毎日かすみちゃんの状態を見に行った。
そうた君やクラスの人達もお見舞いに来ているが、まだかすみちゃんの意識は戻っていなかった。私はとりあえずかすみちゃんの目が覚めることを祈った。
「はぁ、やっぱりあれは夢だったのかな……」
私は布団の上であの夢のような時の事を考えていた。ユーカリと名乗る猫ちゃん。かすみちゃん足を治す為になんでもすると話したあの日から、何か変化があったわけではない。
「夢じゃなかったらって期待してたのに……。やっぱりかすみちゃんの足は治らないのかな……」
私は、やっぱり夢だったのかと思い、涙を流しながらそっと目を閉じた。
……しおんー。おーい、しおんー。
「しおんー」
「へ?ここは……。前ユーカリとあった場所……だよね?」
「そうだよー。改めてこんばんわ、しおん。何回も呼んだのに起きなかったから危うく猫パンチする所だったよー」
「ふあっ!?ユーカリ!?急に喋りかけないでよ!?あれは夢じゃなかったんだ……」
「そんなびっくりしないでよー。3日前に話したでしょー?あれかな?しおんは記憶力ゼロさんなのかな?まぁ、信じられないで夢扱いするのも分かるけどねー」
また真っ白な世界に来たかと思えば今度はユーカリがまた喋っていた。2回目も来れたということはあの話をした時の事は夢じゃなかったかもしれない。私はかすみちゃんを助けられるかもしれないという期待が膨らんできた。
「それで!かすみちゃんを助けられるの!?」
「まぁまぁ、そんな早まらないで。まずは皆で自己紹介と行こうじゃないかー」
「自己紹介?ユーカリは私の名前知ってるし、私もユーカリって猫ちゃんの名前知ってるし……」
「お姉さん。こっちこっち」
それは、ユーカリの声でも私の声でもない可愛らしい声だった。
「え?」
私はその可愛らしい声がする方を向くと、緑の髪の毛で身長は私より1回り小さく、カエルの顔が付いたフードを着ていて見た瞬間「可愛い」という言葉が出るほど可愛い美少女だった。撫でたい衝動を抑えつつなんでこの子がここに居るのかを聞こうとしたら、その子の横にもう1人の少女がいる事に気が付いた。
「こ、こ、こんばんわ」
ちょっと怯えながら挨拶してきたのはピンク色のふわふわしたパジャマでピンク色の髪の毛で、髪の毛が背中まで長いウェーブのかかった大人しく、小動物を思わせる可愛い少女だった。
「こんばんわ。あなた達は誰?なんでここに居るの?」
「ひゃう!」
普通に質問したらピンク色の髪の毛の女の子が怖がって震えている。私何かしたのかな?
「なんでいるのかって言うのは君と同じ理由で叶えて欲しい事があるからだよー。という事で、自己紹介ってことだよ」
ユーカリが私の疑問に答えてくれた。私1人じゃ無かったんだ……。
「私の名前はアロエっていうの。よろしく、お姉さん」
緑髪の子が最初に名乗ってくれた。アロエちゃん……。見た目通り可愛い名前だなー。もふもふしていいかな?やっぱりいきなりはダメだよね……。私はこんな可愛らしい子をもふもふしないなんて人生損してる!と、もふもふしようとうずうずしてると、ピンク色の髪の毛の子が勇気を振り絞ったみたいに震えながら自己紹介をした。
「わ、わ、私はあんずっていいましゅ!」
いいますを噛んだのか顔を凄く真っ赤にしていた。私はここに来た理由がどうあれ、この人達となら何とか一緒に頑張っていけそう。そう思った。
「私の名前はしおんです。よろしくね?あんずちゃん、アロエちゃん!」
「自己紹介も終わった所だし、君達の願いを叶える為に僕からのお願いを先に聞いてもらおうか。じゃあ今からその事について話すねー」
私はこの時はまだ知りもしなかった。この後に私達に起こる悲劇。そして、イノセントフラワーがーーで、ーーだったなんて。
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