第160話 ハイカラさんなエマ

「とってもお似合いですよ。」

「にい!」

「みゃあ!」

「ありがとう式部ちゃん。ジジ君、マリーちゃん。」

式部がエマに袴を着つけて、リボンも結んでくれた。もちろん佳寿かず千寿ちずが選んでくれたリボンだ。

明治時代のハイカラな女学生そのもののスタイルでとても可愛い。

ジジ&マリーも似合うと言っているようだ。


部屋を出るとひかるが待ち構えていた。

「パパ!」

「エマちゃん!とっても似合うよ、可愛いなあ!」

エマを抱き上げ、くるくる回るひかる

「今日は初めての登校だからパパも一緒だよ。」



「山の手女学校へようこそ、みなもとエマさん。」

ふくよかで優しそうな学園長に出迎えられ、教室に案内された。

7歳の子供は10人ほどで、1クラスしかないそうだ。

もちろん、千寿ちず佳寿かずもいた。

千寿ちずちゃん!佳寿かずちゃん!」

「エマさん!」

「山の手女学校へようこそ。」

学校側の配慮で顔見知りの千寿ちず佳寿かずの近くの席になった。


千寿ちず佳寿かず以外のクラスメイトとも、お互いの自己紹介が進む。

「みんな横浜で生まれ育ったのですね!」

「エマさんは、お父様が日本人でしょう。お母さまは?」

「ママはロシア人だそうです。日本は暑すぎて一緒に来られませんでした。」

”だそうです。”というあたり、設定…というか役作りが甘い。しかし子供同士なのでOKだった。


「まあ…。」

「お気の毒ね…。」

同級生たちは、病弱で儚げな美人のロシア人母を想像し、母と離れ離れに暮らすエマに同情した。


エマが想像したレティ(扇風機やクーラーの下でヘソ天で横たわるダラけたフェンリル)との落差がものすごかった。

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