ダモとエンマ！

第136話 冬のごちそうチーズ

「よいしょっと！」

ゴトン！という音をたてて、唄子さんのインベントリから丸く大きな塊がテーブルに落ちてきた。

「大きな塊ですね！」

「ラクレット・デュ・ヴァレという種類のチーズだよ。」

「これがチーズですか！？」

エマの目が真ん丸に見開かれる。

「マイルドで食べやすいチーズだから美味しいと思うよ。今日の晩御飯はこのチーズを使ったメニューだよ。」

「わあ！」

チーズ好きなダモエマとジジ＆マリーの顔が喜びに包まれる。

そろそろ晩御飯という時間に、カールが呼びに来た。

「今日の晩御飯は大広間だぞ！」

「どうしてですか？」

「今日はラクレットだからな！」

ラクレットを知らないエマが？マークを浮かべながら大広間に向かうと大きなテーブルいっぱいに蒸し野菜やパンやソーセージ、ベーコンなどが所せましと並べられている。中でも丸い大きなチーズの存在感たるや！

「わあ！」ダモエマとジジ＆マリーから歓声があがる。

「チーズが大きいからな！」

「みんなで食べても終わらないわね！お腹いっぱいいただきましょう！」

カールとダイアナも嬉しそうだ。

「準備も楽なんだよ。」

切って茹でたり蒸したり焼いたりしたものを並べるだけで豪華な食卓の出来上がりで唄子さんもご機嫌だ。

モテないトリオや子ケルベロスのケリーとベルとローズもいる。

「わあ！可愛いです！」

ばくっ！

ケリーたちを撫でようと伸ばしたエマの手をやきもち顔のデイモンが咥える。

「ダモ・・・。」

エマの声が冷たい………しぶしぶ口を離す。

テオとニナを招待していない日で良かったとダイアナが胸を撫で下ろすがサタンの顔が怖い。無言でエマの手を浄化している。

「さ、さあ！いただきましょう！」

お皿に好みの肉や野菜を取ると、唄子さんがラクレットチーズをかけてくれる。

人間界なら、ちょっとお高い電熱器が登場するところだが火魔法でお手軽にトロリだ。

「さあエマちゃん、お皿から離れていてね。」

唄子の言いつけ通り少し離れていると、魔法で浮かべたチーズを炙ってトロリと溶けた部分を削ぐようにエマのお皿にかけてくれた。

「わあ！とっても美味しそうです！」

「好みで焦がしても美味しいよ。」

周囲を見渡すと、カールやダイアナが火魔法で炙り、自分好みのお焦げを作っている。

カリカリで美味しそうです。

「エマちゃん、私のもカリカリにして！」

「俺のも！」

ジジ＆マリーのお皿に火魔法でカリカリを作る。

「ありがとう！エマちゃん。」

「美味いんだぜ！」

二匹が美味しそうに食べる姿が可愛い。

エマもソーセージを大きく切り分け、たっぷりとチーズを絡めてぱくり！

「美味しいです！」

「チーズを絡めると野菜もうまいのう。」

肉ばっかり食べたいカールや子ケルベロスたちもご機嫌で野菜を食べている。

「そういえばエマちゃん、やっぱりクリスマスはテオ君とニナちゃんと過ごすの？」

「はいルーちゃん、その予定です。」

「イブの日は３人でお茶にきてね、ケーキを用意するから。サタンが。」

「はい！楽しみです！」

イブはルーシーの家でアフタヌーンティー、ディナーはきょうだい３人で過ごすのだ。