第135話 花嫁の父気分のおっさんでいっぱい

「エマ!」

ドンッ!

「エマちゃん!」

エマに駆け寄るテオを体当たりで突き飛ばしたニナがエマを抱き上げる。


「ニナ……。」

「ニナちゃん…。」

テオも呆然だがデイモンもちょっと引いた。

「もう!テオが意地悪いうから悪いのよ!」

「ニナ…。」

テオが気まずそうだ。


「むにゃ…。」

ニナの腕の中でエマが目を覚ます。

「エマちゃん、起きちゃった?」

「になちゃん…。」

「テオが意地悪だったわね、でも大丈夫よ、テオの思い通りにはさせないんだから。」

心配しないでとニナが荒ぶる。


「しかしテオ殿の言うことにも一理あるではないか。」

エマの家出先として前例のある閻魔大王がいつの間にか後ろにいた。

「うむ、エマの将来を今から決めることもないだろう。」

サタンもテオのがわだ。

「天使族とフェンリル族の種族の違いを乗り越えられるか、もうしばらく時間を掛けてみてはどうだ?」

「うむ。同感だ。」

おばさんキャラのフギンとムニンが頑固親父のようだ。


「貴方たちがそんなだからエマちゃんを傷つけてしまうんじゃない!」

「そうよ!そうよ!」

ルーシーとガネーシャとニナも黙っていない。

いつの間にか集まった保護者達が、当事者であるエマとデイモンを置いてけぼりに新たな戦いを始めた。


頑固親父組vs恋バナ大好き組の言い争いがエスカレートする。

中立なヒース&唄子や当事者であるダモエマが両者を交互に見つめる。


「チビはまだ子供だ!ここここ婚約など早すぎるわ!!」

『だめだだめだ』と、閻魔大王が駄々っ子 の様にプルプルと顔を振ると、テオとサタン、フギンとムニンがうなずく。

「別に今すぐ結婚する訳じゃ無いし!」

「仲良しの二人を引き裂くつもり!?

「最低だわ!!」

ガネーシャやルーシーが呆れ顔で反論すれば…

「当たり前だ!!」

「今すぐだなんて!」

「けけけけ結婚なんぞー!!!」

頑固親父たちが血相を変えて反論する。


「デイモンはエマちゃんとの将来について、どう思っているんだい?」

頑固親父組vs恋バナ大好き組の言い争いに飽きたヒースが質問する。

「僕は永遠にエンマのことが大好きです!エンマも同じ気持ちでいてくれたらいいなあって思います!」

にこやかに、爽やかに言いきった。

「エンマはダモもテオ君もニナちゃんも皆んな好きです。いつまでも皆んなで仲良くいられたら嬉しいです!」

無邪気に言いきる。


唄子さんが提案する。

「………この続きはデイモンとエマちゃんが成人してから話したらどうだい?」

エマは子供過ぎるし、デイモンも成人前なので発情期を迎えていないため無邪気過ぎる。


頑固親父組vs恋バナ大好き組と当事者であるダモエマの会話が噛み合わな過ぎる。

頑固親父組と恋バナ大好き組がしぶしぶ合意した。


「エンマ、大好きですよ!」

どさくさに紛れてデイモンがエマに頬のフサ毛をスリスリする。エマも頬を染めて嬉しそうだ。

「ああっ!」

「デイモン!エマから離れて!」

頑固親父組が顔色を変えるが恋バナ大好き組が威圧で黙らせた。

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