第113話 じいじの絵文字
今日のダモエマはジジ&マリーと一緒に裏山に遊びにきている。
もう秋の終わりで採取できるものもないが、いつもと違う遊びをしたいと話したところ、裏山に出かけ、そこで持参したおやつを食べてきたらどうかと唄子さんに提案されたのだ。
「これはジジとマリーのリクエストのラングドシャ・クッキー、これはエマちゃんリクエストのマカロン、これはデイモンのリクエストのどら焼き。全部、小さめに作ったから仲良く分けてね。」
「ありがとう唄子ちゃん!」
「サンキューなんだぜ!」
エマとジジが食い気味にお礼を叫ぶ。
「ねえ唄子さん、その端っこのはなあに?」
「これはドゥミ・セックといって、しっとりした焼き菓子だよ。フランス語で半生という意味だね。今日は焦がしバターをきかせたフィナンシェとフルーツケーキだよ。」
マリーの質問に丁寧に答える。
適当な提案で適当なおやつではなく、ちゃんと特別なおやつを用意してくれる唄子さんは素敵だ。
「飲み物はこっちのポットに入れたからね。赤いポットに紅茶、緑のポットに緑茶、これは熱いから気を付けて。デイモンのインベントリに入れていくといいよ。」
「ありがとう唄子さん。」
ぶんぶん尻尾を振りながらデイモンが受け取る。
唄子さんに手を振りながら二人と二匹が山へ向かう。
全部インベントリに入っているので身軽だ。
「唄子さんのラング・ドシャ、美味しい~!」
「マカロンも美味しいですよ、どら焼きもどうぞ。」
エマとジジ&マリーが分け合って食べる横でお茶を注いだり、どら焼きを4等分にしたりとデイモンが甲斐甲斐しい。
「美味しかったわ~。」
ぽっこりお腹を晒すマリーを毛づくろいするジジ。
「ふう、美味しかったです。」
デイモンが注いでくれたお茶を飲み干すエマ。
「楽しいおやつでしたね、おやメッセージがきてますね。どれどれ・・・。」
デイモンがタブレットを取り出しメッセージアプリを起動すると、エマがデイモンに密着してタブレットを覗き込む。
『ピクニックはどうじゃな?
おじいちゃんはお仕事じゃ😭 うえーん。
鑑定せずにキノコや木の実を食べたらいかんぞ😡
いつもの場所から眺める夕焼けは最高に綺麗なのでオススメじゃ
🥦 😎✌️🌟💖🥦🎶🎵🥦🕺🏼🐘☮️🥦🥦🥦🥦🥦』
「・・・・・・。」
「・・・じいじ、ブロッコリー好きでしたっけ?」
『おじいちゃんはお仕事がんばってるぞ 😎✌️🕺🏼 イエーイ!
頑張ったご褒美に、今夜はビニール飲んじゃおうかな🍺🍻??』
「ビニール・・・?」
「予測変換を誤ったようですね・・・。」
遅くならないうちに帰ると返信し、そっとアプリを閉じた。
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