第110話 弥生って、誰?

—————— しまった・・・尾行してたのにバレちゃった。

「レ、レオ・・・。」

気まずくて困ったようにレオの名前を呼ぶ。

この弱弱しい弥生の様子を見てレオが誤解を深めた。

「弥生っ……俺は…」

「アシュタロトさんのことが好きなんでしょう?」

レオを遮って、感情を高ぶらせたたちばなが発言する。


「ええっ!?」

—————— まさか私がBLの三角関係に巻き込まれるなんて~♥


「や、弥生!」

今までで一番最低な妄想に浸る弥生を見て、『弥生が誤解し、ショックを受けている』と勘違いしたレオが焦る。

確かに弥生は誤解していたが、レオの思いやりに値しない誤解・・・というか妄想だった・・・。


—————— あれ?

アシュタロトさんのことが好きな割に、アシュタロトさんそっちのけで獅子化して、あの小柄なウサ耳の女の子の周りをぐるぐるして・・・何かがおかしい・・・。


たちばな。」

アシュタロトに名前を呼ばれ、たちばなが振り返る。

たちばな、俺が好きなのはたちばなだ。」

「へ?」

たちばなはポカン顔まで美しいな・・・・

「え・・・えええ!?うそっ!」

「嘘じゃない。レスキュー団体で一目見た時から好きだった。一緒に働いて、動物たちに優しいたちばなにますます惚れた。動物たちを見るように俺のことも見てほしいと思っている。いつも一緒にいたいと思っている。」

「アシュタロトさん・・・・。」


「・・・・でもっ!・・でも・・・俺は・・・俺は・・・っ!たちばなのことが好きだから、たちばなの幸せを願っている。たちばなが弥生を好きなのならば応援する!例えレオとの友情が壊れることになっても!」

「え、えええええ!?」

「本当だ!」

「あ、あのね・・・・」

「なんだ?」


「弥生って、誰?」

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